2021/06/17
砂糖や小麦粉はなぜ白いの?「精製」について学ぶ
子どもが「育つ力」を信じて、日々の子育てを楽しんでいるファーミング・ベアこと、農家のベアくん。友人の都市りすくんは、ベアくんの考えに共感し、もうすぐ始まる自分の子育てに向けて準備中です。今日はベアくんがいつも子どもと一緒に作っているおやつを、りすくんと一緒に作るそうです。りすくんは早速、ベアくんの台所にある食べものが気になっているようですよ。(前回の内容はこちらから)
登場人物
よく使う食べもの、どうやって選んでる?
ベアくんの台所にある食べものは、ぼくが見たことないパッケージのものばかりだなぁ。
りすくんが使ってるのとはメーカーやブランドが違うかな?それはもしかしたら私が精製されていない食べものを意識的に選んでいるからかもしれないね。
精製?
自然のものには色々な栄養が混在しているよね。その中から特定のものを取り出すことを精製というんだ。身近な例を挙げると、白米は玄米の糠を除いて取り出したものだね。砂糖は作物から糖分を取り出したもの、塩は海水から塩分を取り出したもの、最近では栄養を補給するサプリメントも精製されたもののひとつだね。
考えてみたことはなかったけど、ぼくたちの生活には精製されたものがたくさんあるんだね!
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「大きく育つ」と「健康に育つ」は違う
欲しい部分だけ取り出すことができるのはとても便利なことではあるんだけど、わたしは精製されて選ばれなかった方にこそ、健康な体をつくる栄養がたくさんあると考えているんだ。
わたしは農家だから、野菜を例に説明するね。野菜にとっての化学肥料は「栄養が意図的に選ばれている」という点で精製された食べものみたいだよね。化学肥料を使って育てた野菜と、動物の糞や落ち葉を用いて自然に近い状態の土で育てた野菜、実際に育てて比べてみると全然違ったんだ。
え〜!どんな違いが表れたの?
わたしの畑で化学肥料を使って育てたら、すごく大きく育ったんだけど、天候の変化や病気に弱かったんだ。反対に、土を自然に近い状態に整えてから育てた野菜は、成長速度はゆっくりだったんだけど、風や雨に負けないくらい丈夫で、病気もかからずに育ったんだよ。
※「土作り」の詳しいお話は食育通信01を読んでね。
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自然にある栄養をまるごと食べる
肥料で大きく育っても弱いなんてびっくりだよ。
自然の土には人間が把握しきれていないほど色々な栄養が含まれているんだよ。自然な土から栄養を吸収できると、野菜の成長に寄り添ったバランスで栄養を蓄えられるから、丈夫な体をつくることができたと思うんだ。
化学肥料を使って育てると、吸収できる栄養は人間が用意したものに限られてしまうんだよね。根っこのまわりにある化学肥料を優先的に吸収するから、元から土にある栄養を十分に蓄えられなくて、サイズは大きくても健康には育たなかったのかもな、と考えたんだ。
一生懸命考えているうちに、野菜も人間も自然の一部であることを思い出してね。「意図的に選んだ栄養」よりも、自然にあるものをそのまま吸収した方が、丈夫な体をつくれるんじゃないかと考えるようになったんだ。だから、わたし自身も、普段食べるものはできるだけ自然に近いものにしたくて、精製されていないものを選ぶようになったんだよ。
説得力あるなぁ。でも、わたしは精製された食べものに慣れ親しんでいるから、自然に近い食べものを選ぶのは難しく感じちゃう。
慣れ親しんだ食べものを変えるのはとても大変なことだから、考え始めたことがもう大きな一歩だよ!色々な食べものがあることを知って、りすくんが好きだと思えるものを選択できるといいね。
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都市りすのひとこと
砂糖も小麦粉も、今までは見慣れた食べものを迷わず選んでいたけど、ぼくが知らない色々な選択肢があったんだな。次は何を選んでみようかなぁ。知らなかったことを知れると、なんだか世界が広がったように感じて嬉しいな!
次回は色々な料理に大活躍する小麦についてのお話です。自ら小麦を育て、小麦粉も挽いているベアくんのお話に、りすくんは驚きの連続。お楽しみに!
ライター/わださえこ 編集/やなぎさわ まどか