※畑のそばの、豊かな暮らし発掘メディア「ハタケト」は、2022年9月1日より愛食メディア「aiyueyo」にリニューアルしました。

岐阜県中津川(なかつがわ)市の写真家百姓で、Koike lab.代表の小池菜摘(こいけ なつみ)です。畑の魅力伝道師の中では現在唯一の農家。畑に生かされている人間として、なにをお伝えできるかなぁ、なんてずっと考えながら、今日もいのちを愛でています。

ハタケト 、今。

「あけましておめでとうございます」
ってひとに会うたびにペコリと頭を下げる1月、例年は寒いだけの中津川も、流石に雪がすこし降ってたのしい。

2021年もたくさんの挑戦をして、ほとんど壁にぶち当たって泣いて、ほんのすこしのことを成功させた。
ムスメが生まれた2016年からずっとそうしていて、よくもまあ飽きることなく負けることなく愛で続けているものだ。
いのちを、仲間を、地域を愛しているのだ、と胸を張って言えるようになったのだって、つい最近のことなのだ。

(Koike lab.のメンバー。 #チームkoikelab

働き方、は在り方

過去には夢見る売れない子役タレントもどきも、バンドマンもやったし。
スーパーのレジも、キャバクラも、スナックも、新聞の校閲も、甲子園の売り子も、コンビニバイトだって
親の仕事の手伝いも、東京でヒールをかき鳴らすキャリアウーマンもやったし、寝たきりうつ病患者も結構長いことやった。

わたしにとって随分と「働く」ということは困難なことが多かった。
総じて楽しくはあったけれど、現れた壁をよじ登るスキルも、破壊する肝も座っていなかったように思う。
大抵は人間がこわくなって逃げるようにやめたし、いつだって人のせいにして自分を正当化していた。

在り方が定まらない頃、いつも外面を評価されていた。
自分が演じている自分への評価が上下することに、猛烈な違和感を感じていた。

わたしはわたしで在ることを許さなかった。
自分が自分であることを、一番嫌っていたのはわたしだった。

売れないくせに写真家にこだわっていたらお金が尽きて、夫の実家を頼って嫁ターンをして。
田舎すぎて話す相手がいなくてうさぎとばっかり過ごしていたら、家事をしろと怒られて。
30歳で死ぬつもりで生きていたのに29歳11ヶ月で出産させてもらっちゃったので生きるしかなくて。
ムスメのふるさとをより善くしたいと思って、まちづくりのNPOに入ったら毎日人格否定をされて。

本当につい最近まで、全然、わかっていなかったのだ。
自分が自分を認めずして、本当の愛を語ることなどできないってことに。

Aeru、という概念を作っている。アエルうちに会っておかないと、素敵なものたちはある日突然消えるから)

自分を認めたり、許したりすることは難しい。
それでも、在り方を変えて、わたしらしく働くためにはどうしたら良いのかを考えた。
あいも変わらず試行錯誤の最中ではあるけれど、

・理想の自分を演じない。今どう過ごしたいかで今やることを決めて良い。
・自然の力に逆らわない。やめとけって風が言うなら無理をしない。
・心がよろこぶモノを食べ、大好きなヒトとだけ逢い、ワクワクするコトだけをやる。
・一人でやれることなんて大したことじゃない、周りに話して手伝ってもらう。

そんなことを意識しながらその場に素直に在ることを心がけるようにすると
不思議なことに、そんなわたしの在り方を認めてくれるひとたちばかりが周りにいるようになった。

たとえば。
イベントを仕掛けるならできるだけ出店者さんから買うわたしで在りたいからいつもそうしているのだけれど、
新春イベントは飲食もあるものだったから、お給料もらってるのにずーっと食べていた。(罪滅ぼしに通常有償じゃないと渡さない写真データをたっぷり差し上げた笑)
大食いは地域経済の役に立つ。2,500円分ぐらいの色々を次々平らげるわたしを見て仲間は笑っていた。
相談もせずに「写真を撮りたい気分だから!」とろくに接客もせず、写真を撮るか食べるか買うかしかしていない。
でもそこにいるひとたちは、総じてゴキゲンだった。

在り方、が自分らしいと、働きやすいし、生きるのがとても楽だ。

(年末年始に数ヶ月ぶりに料理をした。面白がって夫が写真を撮ってくれた)

わたしらしく働く2022

いつもバッキバキに計画を練って1年をスタートさせるタイプだったわたしだけれど、今年はのんびり。
まだ1月の予定も決め切っていないぐらいで、めちゃくちゃ頑張った2021年をまだ労っているところ。

いつもタイムリーにわたしの感じている不透明感をクリアにしてくれる神がいるのだけれど、
それが大学時代の先生かつ写真家仲間の別所隆弘さん。年明けにこんな記事をあげていて。

別所先生の言葉を借りると、今年のわたしの行動指針は
「全体を俯瞰的に見る癖を獲得したので、専門分野の知見をもとにしたディレクター的な人材としてうまく割り切って、理想と矜持は大事に守る」
ってところに落ち着くのだ。言語化の神に感謝。

2021年はKoike lab.というわたしと#チームkoikelabを表現するキャンバスを拡張していろんな絵を描きながら、それらの愛から生まれた絵でもって、地域の中で様々な役割を担っていけるよう意識して俯瞰し、一方で確実に手を動かしてきた。
2022年はいよいよそれらを連動して稼働させていって、一つひとつの課題解決に寄与していく段階なんだろうなあと思う。

もちろん、自分の力ではどうにもならないこともある。それを諦めるのではなく、アプローチを変えて挑むこと。
一つのいのちのためになることでも、俯瞰して地球上のいのち全体を見れば必ずしも正解とは言えないことが多いのと同じように。

「36歳、五黄の寅年女は最強なのだ」と言われまくるのでちょっと我を通す瞬間も作りながら
時に目の前の壁を破壊したり溶かしたりしつつ筋を通して
あくまでも謙虚に、利他的であることを忘れず
持続可能な地域・持続可能な農業を、わたしらしく営んでいけたら良い。

ていねいに。

(出来上がった菊ごぼう入り松前漬、は地域の味)

ライター/小池菜摘

今月のテーマは「畑とわたしらしく働く」。あなたらしく働くための工夫や考え方などもぜひ、ハッシュタグ #畑とわたしらしく働く で教えてください。ハタケトへの感想やリクエストなどもお気軽にどうぞ。お待ちしてます!【Twitter】【Instagram】

また、過去にハタケトに登場した方々に学び、自分らしい農や食との関わり方を叶えていくコミュニティ「ナエドコ」は年に3回メンバーを募集しています。同じ思いをもつ人たちとつながり、励まし合いながら自分らしい道を見つけませんか?

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