2022/07/29
買い物はとことん納得してから。大切な人たちと共に生きるふたりが見つけた、暮らしの中の哲学
ヤシノミ洗剤などサラヤ製品を愛用する方たちを紹介する「サラヤとハタケト愛ある暮らし」連載。今回はハタケトのライター兼ディレクターである北 茉優花さんと、茉優花さんのパートナーでありハタケトカメラマンの松木太さんにお話をお伺いしました。
おふたりとも最初のキャリアに選んだのは自然豊かな大分県中津市耶馬溪(やばけい)町の地域おこし協力隊。茉優花さんは1年ほど前に地域おこし協力隊に着任し、現在合計6名でのシェアハウス暮らしをしています。茉優花さんと太さんは、毎月みんなで出し合う生活費から購入する日用品や食品の買い物を担うことが多いそうで、値段よりも重視している選択基準があると言います。おふたりが大切にする価値観とはどんなことか、伺ってみましょう。
自然のそばで暮らして気づいた現実
ハタケト:おふたりの暮らすシェアハウスではヤシノミ洗剤プレミアムパワーを使っていると伺ったのですが、きっかけはなんだったのでしょうか。
茉優花さん:私がもともと一人暮らしの時に使っていたんです。まだ移住してくる前、世界がコロナ禍になって大学に通えなくなった時期に、すでに耶馬溪で地域おこし協力隊をしていた彼が暮らすシェアハウスで2ヶ月ほど過ごし、この環境でいろんなことを考えたことがきっかけでした。
耶馬溪では下水道が完備されていない地区もあり、シェアハウスもその一つ。自然豊かな里山に、生活排水がダイレクトに川に流れていたんです。近くの川辺に遊びに行った時に、泡が浮いているのを見て、生活排水と川や海の水とがつながっていることを強く実感しました。気になって調べてみると、下水道がある都会でも全ての排水が完全に浄化されている訳ではないと知り、自分の暮らしが自然に与える影響を真剣に考えるようになりました。また、彼が働いている職場に化学物質過敏症の方がいたことも日用品を見直す大きなきっかけでした。
自分なりにたくさん調べて、サラヤさんだったら安心して使えそうだなと、一人暮らしをしていた福岡に戻ってから食器用も洗濯用もヤシノミ洗剤に変えました。
ハタケト :太さんは福岡県出身、茉優花さんは佐賀県出身なのに、なぜ耶馬溪で暮らすことを決めたのですか?
太さん:祖父母が30年程前に耶馬溪に移住していて、自分たちで暮らしを少しずつ造りながら四季を楽しんで暮らすふたりの姿に小さい頃から憧れていました。将来を考えていくうちに、自分も将来は耶馬溪でこんな暮らしがしたいと思うようになりました。自然豊かな耶馬溪では農業を生業にしていくのが良いと考えて東京農業大学に進学し、その頃に茉優花さんと出会ったんです。
茉優花さん:わたしは食や健康への関心が高い母の影響もあって、栄養学を学んでいました。農業や里山での暮らしに興味が高まったのは、「食と農をもっと身近に」をモットーに掲げた農業の学生団体で活動していたことがきっかけです。「耶馬溪で村を作りたい」という彼の夢を聞き、わたしも一緒に未来を作りたくて、耶馬溪で地域おこし協力隊になる道を選びました。
太さん:村作りの最初の一歩がシェアハウス作りで、友人と一緒に「暮らしをつくるシェアハウスーhitotose」をはじめました。一年間を意味する言葉で、「春夏秋冬」と書いて「ひととせ」と読みます。実はこの名前もおばあちゃんが書いた短歌の一節からもらいました。
対話を重ねて行き着いた、ヤシノミ洗剤
茉優花さん:今はみんなでヤシノミ洗剤プレミアムパワーを使っているのですが、実はかなりの紆余曲折がありました。
空き家だった家をシェアハウスにした時、以前住んでいた方の物がたくさんあり、未使用の食器用洗剤が10本以上ありました。最初は捨てるのがもったいなくてそれらを水で薄めて使っていましたが、環境負荷になっている現実を知ってしまったので違和感があり、使うのを止めようと提案したんです。同時に納得できる食器用洗剤を探して、環境に配慮されている洗剤をいくつか使ってみたりしたのですが、香りが強すぎたり、手が荒れてしまったりして合わなかったんです。
わたしたちふたりだけならいろんな工夫をして、洗剤を使わない方法を模索したい気持ちもあります。でもこのシェアハウスは住人以外にも多くの人が出入りするオープンな環境で、洗剤があった方が心地よく過ごせる人もいる。自然に配慮しながらもみんなで無理なく暮らしていきたいと考えて、一人暮らしの時に使っていたヤシノミ洗剤を思い出したんです。環境への考え方を公開しているサラヤさんの姿勢にも共感して、今はヤシノミ洗剤プレミアムパワーと、米ぬか、食器用ブラシに落ち着いています。自然に負荷を掛けているという罪悪感も減り、心が少し軽くなりました。
ハタケト :わたしもシェアハウスに住んでいた経験があるのですが、暮らしの中のひとつを皆でそこまで話し合うなんてすごいですね。
太さん:そうですね、日頃からみんなで対話することを大事にしています。「自然と共に生きる」ことや「仲間と一緒に対話しながら自分の人生を考えていく」ことを大事にする。そんな村をつくりたくて始めたシェアハウスなので、集まる人もそうした価値観に共感する人たちが多く、話し合いも前向きです。皆でビジョンを共有しているからか、対話を大事にしようという共通の認識があります。
哲学をもって選んだ、心地よい暮らし
ハタケト :みんなで対話しながらものを選ぶようになって、変化はありましたか?
茉優花さん:たくさんあります!例えば「本来なくても困らないのに当たり前のように買っていたもの」を無くせたこと。梅雨の時期は湿気がすごいので洗濯物が結構臭うのですが、柔軟剤や消臭剤を使うのではなく、洗濯板と石鹸を使って洗ってみたり、洗い終わったらすぐ干すようにしたり、香りでごまかさない心地良さを知ったんです。今ではちょっとした香りにも敏感になり、最近は、田んぼと土と水の香りがするね、なんて皆で話していて、季節の変化を香りで感じられるのも嬉しいです。
また、ものを選ぶ基準が明確になりました。以前はなんとなく新品やブランド品が価値あるものだと思っていましたが、今は背景やつくり手の思いを重視しています。
太さん:今まではものづくりを知らなかったので、選択の基準が「聞いたことがあるもの」だったんですよね。耶馬溪に来てからは、有名ではないけれど素晴らしいものを作っている人たちにたくさん出会いました。規模は小さいながらも本来のものづくりを知ったんです。そういった良いものは、自ら調べたり動いたりして出会わなければ選べないんですよね。
自然のそばで暮らしていく中で五感が研ぎ澄まされて、何が自分にとって大事か明確にできたことで、哲学をもって物事を選ぶようになり、どんどん心地よい豊かな暮らしになってきたと実感しています。
茉優花さん:本当に共感できるものかどうか、じっくり時間をかけて検討していると思います。作っている人の価値観に共感できるものや地域にお金が回るものに、心から納得して、感謝の気持ちとしてお金をお支払いするようになり、心豊かなお金の使い方をしているなあと感じます。思いや気持ちが巡る世界で生きていきたいです。
(インタビューはここまで)
自然にとって、自分たちにとって心地が良い暮らしを真剣に考え、対話しながら模索している茉優花さんと太さん。自分たちの主張を押し付ける訳ではなく、地球、自分たち、一緒に暮らす仲間。全てにとっての最適解を模索し続けている姿がとても素敵でした。
おふたりの第一歩は洗剤を変えたこと。今使っている洗剤は、なんとなく選んでいない?わたしも自分が使っているもの一つ一つに対し、本当に心地良いものなのか、共感できるものなのか、夫と対話しながら選んでみようと思います。