2021/12/03
さといもを、いつもより少し丁寧に。幸せの味を知った、とっておきの食べ方【畑の魅力伝道師 いまむらゆい】
※畑のそばの、豊かな暮らし発掘メディア「ハタケト」は、2022年9月1日より愛食メディア「aiyueyo」にリニューアルしました。
こんにちは、お野菜料理家のいまむらゆいです。わたしの住む町では、ぐるっと囲む山々が色づきを増してきて、眺めているだけで幸せになる季節です。
紅葉の時期になると、いつも思いを馳せる野菜があります。それは今回、おいしい食べ方をお伝えしたい、「里芋」です。
「野菜を丁寧においしく食べること」は、こんなにもしあわせな気持ちにさせてくれるのだと、わたしに教えてくれた、思い出深い野菜のひとつ。そんな里芋の「むふっ」っと幸せになれる食べ方をお伝えしたいと思います。
「いただきます」の言葉が本物になる感覚
地産地消の活動団体でお手伝いをしていたころ、よく農家さんと一緒に飲食店さんへ行き、シェフ自慢の一品を食べさせていただく機会がありました。
農家さんへのリスペクトがあるからこそ、シェフが素材の持ち味を大切にした料理は、本当に愛のある味で、ひとくちでこの上ない幸せを教えてくれました。
シェフの「◯◯さんの里芋だから、うまいんだよね」、農家さんの「いやいや、シェフの腕のおかげですよ」そんなやりとりが微笑ましく、その空気感が大好きでした。
目の前のひと皿から、農家さんの顔、シェフの顔が見えて、食材とその方々へ向けた「いただきます」の言葉は、なんとも言えない安心感と満たされる気持ちにさせてくれます。
畑の里芋のその姿に
写真は、畑から掘り出したばかりの里芋。飲食店さんで働くスタッフさんとともに畑へ伺った時の写真です。
さつまいもやじゃがいも掘りの経験はあっても、里芋を掘れる機会はなかなかないですよね。
茎とつながる親芋に子芋、孫芋がくっついて一体となっていて、そこから根がたくさん出ていて、一つの大きな塊になっている里芋。
掘りたての里芋を初めて見たときには、イメージしていたものとの違いにびっくり、、。そして、その姿から、里芋がわたしたちの手元に届くまでに、どれだけの労力と時間があるのだろう、と深く考えさせられる姿でした。
農家さんはわたしにとってのヒーロー。大好きな野菜の生みの親であり、自然と共に生きる姿、畑で磨かれたその力強さが本当にかっこいい。「野菜を丁寧においしく食べること」を通して、畑に、そして農家さんに想いを馳せて、今日も野菜をおいしくいただきたいと思います。
焼き里芋、揚げ里芋
ハタケへの愛を語り尽くしたところで、お待たせしました、やっと里芋の食べ方のご紹介です。
里芋をおいしく食べるコツは、火を通す前に皮を剥かないこと。そのほうが、余すことなく里芋を食べることができるし、ぬめりのある里芋と格闘することもありません。
丸ごと蒸して、塩でいただく大定番の食べ方もねっとりで大好きですが、たまにはオーブンで焼いてみるのもよし。里芋らしさが出る食べ方でおすすめです。
【焼き里芋】
まずは里芋はしっかり洗って、たて半分に。
天板にクッキングシートを敷いて、断面を上にして並べる。予熱なしのオーブンで200度45分焼く。
ほんのりこんがりとした焼き里芋のできあがり。
大ぶりに切ってオーブンで焼くと、ほどよく水分が抜けて、表面はパリッと、中はほくほく。煮物とはちがう魅力が出てきますよ。
食べるときは、オリーブオイルと塩胡椒で。しょうゆをちょろっとかけてみるのもいいですね。たまには、ナイフとフォークで里芋を食べてみるのも楽しいですよ。
【揚げ里芋】
もうひと手間かけるなら、焼き里芋を皮ごと唐揚げに。しょうゆ、酒、みりんなどお好みの下味をして、薄く片栗粉をまぶしてカラッと揚げる。おつまみにもぜひ。手が止まらなくなるのでお気をつけて。
実は、里芋は皮つきのままでもおいしい。一度は皮ごと揚げて、パクっと食べてみてくださいね。
おわりに
季節が巡るたびに、その時期の畑の風景が心の中にあることで、なんだか豊かな気持ちになれるように思います。秋から冬にかけて寒さが増す今、旬の里芋をちょっぴり丁寧に、おいしく食べてみてくださいね。
ライター/いまむらゆい