2021/10/22

レンコンで楽しむ、料理の魔法。輪切りだけじゃない、おすすめの食べ方【畑の魅力伝道師 いまむらゆい】

※畑のそばの、豊かな暮らし発掘メディア「ハタケト」は、2022年9月1日より愛食メディア「aiyueyo」にリニューアルしました。

こんにちは、いまむらゆいです。ハタケトの中では1つの野菜に注目して、食べ方コツやレシピをご紹介しています。今回、わたしが向き合ったのは「れんこん」。切り方次第、火の通し方次第で味わいが変わるおもしろい野菜で、わたしも大好きです。

カリカリ、ほくほく、シャキシャキ、もっちり、とろとろ。手の加え方で変幻自在のれんこんは、料理する楽しみを教えてくれる野菜です。

今回は、そんなれんこんの個性を存分に引き出して、これからの秋に味わいたい食べ方をお伝えしようと思います。

料理という魔法をを教えてくれるれんこん

ちょっと笑われてしまうかもしれませんが、わたしにとって料理の時間は、魔法をかけている気分。(笑)

料理をする前の食材のまま食べることは難しいのに、トントントンと手を加えれば、何通りもの料理になって、おいしく食べることができます。

それに、同じ料理でも作る人によって出来上がりが変わるから不思議。目に見えない何かが、調理する手から伝わっているような気がしていて、そんな感覚が手料理の大好きなところです。

れんこんは、まさに料理の魔法を感じさせてくれる食材。繊維に沿ってたて切りにすれば、繊維の力強さを感じるポリポリ食感になって、炒め物やきんぴら向きのれんこんに。繊維を断ち切るようにすれば、口の中でほどけるようなほっくり食感に変わって、ステーキ向きのれんこんになります。切る厚みや火の通し具合によっても絶妙に味わいが変わるので、好みの食感を探してみるのも楽しくなりますよ。

れんこん畑に想いを馳せる

れんこん畑を見たこと、行ったこと、体感したことはありますか?わたしは野菜好きといいながら、れんこん畑にはこれまで縁がなく、車から風景を眺めたことがある程度です。

ただ知識として知っているのは、歩くのも大変な深い泥の中でれんこんが育って、ポンプの水圧で掘り起こすというもの。自分の手元にれんこんがたどり着くまでに、どれだけの大変な作業があるのかと想いを馳せると、おいしく料理して食べることこそ、最大の恩返しと思える。だからわたしは、野菜の味を香りを、その個性を感じられるような料理が大好きです。

さて本題に入って、今回わたしがお伝えしたいれんこんの食べ方は2つ。調理によってさまざまな食感に変化するれんこんですが、わたしは肌寒い季節になると「もっちり」や「とろとろ」で楽しみたくなります。体の芯から栄養を与えて温めてくれるようなれんこんの味わい方、ご紹介したいと思います。

食感のいいとこどり。「丸ごと茹で」

まずおすすめしたいのは、れんこんを丸ごと茹でる方法。鍋に水とれんこんをいれて中火で熱して沸騰させ、弱火に落としてじっくりコトコトと茹でていきます。30分ほど茹でて中心まで柔らかくなったら、ザルにあげて冷まします。

この茹で方のひと手間でれんこんの甘みが引き出されて、もっちり感のあるれんこんに仕上がります。丸ごと茹でるので、そのあとうす切りでサラダにしてもよし、乱切りにして炒め物に入れてもよし。いつものお気に入りのれんこん料理で、火の通し方を変えてみるのもおすすめです。

(たたきれんこんのおかか醤油かけ)

丸ごと茹でたれんこんの食べ方で、ぜひ作ってみてほしいのは、「たたきれんこん」。茹でたれんこんの皮をむいて、縦に4等分に切ってポリ袋の中へ。袋の上から叩いて一口大程度になったら器に盛って、お好みでかつお節としょうゆをひとまわし。もっちり食感と、ほくほく食感が楽しめる一皿になりますよ。

れんこんの皮は剥かずにそのままでも。れんこんの淡い白をいかしたいときには、皮はむいて別の料理に使いましょう。

体を労わるれんこんの「すりおろし」

もう一つの食べ方は「すりおろし」。れんこんはすりおろして使うと、もっちり、そしてとろとろ食感に。一口食べると、体の中から優しく包んでくれるような感覚になって、体が寒さに慣れない季節の変わり目や芯から温まりたいときにはぴったりです。

(れんこん蒸しもち。蒸し上がって蓋を開けると蒸気と香りが広がる)

生のれんこん一節を皮をむいてすりおろし、片栗粉大さじ1と塩ふたつまみを加えます。蒸し器に団子状になるように入れて10分ほど蒸すともちもちれんこん蒸しもちの出来上がり。すりおろした生姜をのせて、少しの醤油で食べるとおいしいですよ。

(れんこんのすりながし汁)

生のれんこんを皮をむいてすりおろし、倍量の出汁と一緒に鍋に入れて1〜2分火にかけていくと、だんだんとトロトロに。塩やたまりしょうゆで味を整えると仕上がりの色もきれいになります。優しい味で芯から温めてくれる一杯です。

捨てちゃいけないれんこんの節の間。

れんこんの節と節と間の部分。捨ててしまいがちだけど、食べられるのでぜひ料理にしてあげましょう。ひげ根がついていたら、包丁でぐるりと周りを剥くようにこそげとれば大丈夫です。

食感は火を通しても少しかため。うすく切って、剥いたれんこんの皮と一緒に炒め物にするか、炊き込みご飯の具材にするのもおいしいです。食感がしっかりとしているからこそ、炊き込んでもシャキシャキ食感が楽しめますよ。

おわりに

れんこんは手の加え方次第で、驚くほど変化を楽しませてくれる野菜です。今の自分には、シャキシャキが欲しいかな?ほくほくが欲しいかな?そんな問いかけをしてみながら料理するのもいいですね。きっと体の内側から元気をくれるれんこん料理になりますよ。食欲の秋、体を労りつつ過ごしていきましょう。

ライター/いまむらゆい