2024/11/29
『我がまま』を抱きしめたら、自分らしい道が開けた。ーいのち芽吹く瞬間をつくるまで
aiyueyoは、食を起点に自分らしく生きることで、半径5mからごきげんの輪を広げることを目指している活動体です。
そんなわたしたちが提案したいのが
・すでに持っているスキルや得意なこと
・夢を叶えるために小さく始めていること
・誰かのニーズに合わせて始めたこと
など、想い・らしさをいかした複数のお仕事を組み合わせる「自分ファーマー」という働きかたです。
このシリーズでは、自分ファーマーとして生きる人々の、そこに至るまでのストーリーや想い、生き方についてお届けします。
今回ご紹介するのは、コピーライター、画家、アート合宿運営など、複数のナリワイをもつゆっこさん。現在はご自身の思いや「らしさ」を存分に表現して生きているゆっこさんですが、かつては無意識に、まわりに認められることに引っぱられていた時期もあったとか。自分の心の声を聴けるようになるまでの葛藤や道のり、その先につながった自分だけの生き方について、率直にお話しいただきました。
一見バラバラな複数の仕事。でも、わたしの中では確かにつながっている
── 現在のお仕事について教えていただけますか?
ゆっこさん:主に3.5個くらいのナリワイを持っています。
ひとつ目は「挑戦者の翻訳者」として、企業の経営理念やビジョン、ミッションの言語化を手がけるコピーライターとしての仕事。何か実現したい世界がある方の想いを、どのように世の中に繋いでいくかを考えています。
1時間語っても伝わらないような想いを、5秒で伝わる言葉にする。わたしの役割は、スクリーンショットを撮るように言葉で世界を描き出すことです。
── aiyueyoにも言葉を贈ってくださったことがあるんですよね?
ゆっこさん:TUMMY(aiyueyoの運営母体)を立ち上げる前のなるちゃん(あべなるみ / aiyueyo旗振り役)とランチをしていたときに、のちにaiyueyoとなる事業をやりたいという話を聞いていたら、あるキーワードが浮かびました。それが「ハタケ」だったんですが、なるちゃん曰く、コアの概念が言い当てられたような体験だったようです。aiyueyoは私の「推し」なので、定期的に絡ませてもらっているのですが、中心的な考え方である「愛本主義」もお渡しさせていただきました。今のキーワードの一つである「ナリワイ」という言葉も、きっと大事そうだね、って伝えたら、「確かに、メンバーがよくその言葉使っています!」みたいな。あくまでコアは相手の中にあり、私は「翻訳」あるいは「助産」させてもらっている感じです。
── そうだったんですか!aiyueyoの伝えたいことをしっかり押さえ抑えつつ、個性もある言葉たち、とても素敵です。
ふたつ目のナリワイは5年前から始めた抽象画家としての活動です。描いた絵は、個人の方のご自宅や、病院・ホテルなどにこれまで250点以上飾られているほか、今年は田町駅で半年間、展示させていただいたりもしました。個人的には、宿泊施設、病院や飲食店など、丸ごと一棟 / 一店お任せいただき、全て自分の作品でしつらえさせてもらうことに、やりがいも感じています。
また、今年から即興でのライブアートパフォーマンスも始めました。会場の空気やエネルギーを15〜20分で絵として表現するんです。個展会場でのパフォーマンスや、出版記念パーティーなど、様々な場面で実施しています。11月1日からは「即興芸術シアター SHAKE CIRCUS」を立ち上げ、年内15回の公演を予定しています。毎回二度と同じものが生まれないような作品が創り出される中で、表現者としての胆力を磨いています。
ゆっこさん:みっつ目はアート合宿の主宰です。普段絵を描かれていない大人の方に3〜4泊していただいて、自己表現と感性を育むトレーニングをしています。
大切にしているのは、作品づくりを通して「自分自身のかけがえのなさを発見」してもらうということ。参加者それぞれの種が自然と芽吹くような土壌づくり、そして光と水と風をわたすことを心がけています。そうすれば、自然と芽が出るものだと思います。
この合宿を終えるとみなさん自然と自分を信じることができるようになって、次のステージに進んでいかれます。
ゆっこさん:最後に、+0.5個のナリワイとして、シータヒーリングやコーチングなどを掛け合わせたセッションもやっています。セッション時間を設けるわけではなく「あ、今必要だな」と思ったときに、突発的に始まります(もちろん、お相手の了解を得てですが)その姿はさながら「流しのヒーラー(笑)」自己受容のサポート、ビジョンやミッションを実現するための障壁を取り除くお手伝いをしています。
── 本当に幅広く活動をなさっているんですね。
ゆっこさん:これらの活動は一見バラバラに見えますが、すべて「いのち、芽吹く瞬間をつくる」という私の理念につながっています。コピーライターでは、言葉を通じて人の中に眠る想いを引き出し、夢や希望が輝き出す瞬間を。画家としては、相手が自分の尊さに気づく「鏡」となるような作品を。そしてアート合宿では、自己表現を通じて自分の可能性に気づき、自分自身を信じられる瞬間を届けています。
直感と行動力で切り開いた、自分ならではのナリワイ
── 現在のナリワイにたどり着くまでに、どんな経緯があったんですか?
ゆっこさん:最初はベンチャー企業で営業をしていて、その後人材育成の会社でチームビルディングに関わっていました。その頃あるコンサルタントさんのセッションで、「思考の整理役」になったらいいんじゃないかと言われました。確かにわたしは、人のプレゼンを4〜5分聞くと、コンセプトが分かるようなところがあったので、その強みを生かそうと思いました。ただ、「思考の整理役」だけだとインパクトが薄いように感じ、経営理念などを作る仕事をしようと思ったんです。
──画家になろうと思ったきっかけはなんだったのですか?
ゆっこさん:ある知り合いの方に「画家になりなさい」と3時間説得されたんです。昔から美術館に行くのは好きだったんですが、中学の授業以来、絵を描いた経験などはありませんでした。でもその時、「そういう形で愛を届けるのもありなのかな」と感じて。絵は、言葉では削ぎ落とされすぎてしまって表現できない感覚や感情も含めて、もっと多くのことを世界に伝えられると思いました。
また、未知なものに強い好奇心があるので「いきなり画家になったらおもしろいな」と思ったこともきっかけです。やる!と決めた時はちょうどコロナの始まった2020年でしたが、個展を3回も開催しました。スタートが人からの勧めだったので、自分が絵をやる理由を見つけるためにアートスクールに3校通ったりも。自分が描く中で感じた絵の可能性から、アート合宿を開くようにもなっていきました。
── 「おもしろいな」という動機から本格的に実行される姿、かっこいいですね!
たくさんの葛藤を超えて、本当の自分の声を聞くことができた
── 自分の才能を見つけて信じることは最初から得意だったのですか?
ゆっこさん:「ナリワイ偏差値」が高くなったのは30代以降なんです。20代の時、何かになりたいとずっと思っていて、でもその「何か」を見つけることができないまま、転職を繰り返していました。とても辛い時期でしたが、それでも歩みを止めませんでした。
その頃、興味ある勉強会やコミュニティ、経営者交流会などにいろいろと参加してみていました。そこでは「何をしているのか、何がしたいのか」と必ず聞かれるんですね。答えられない自分が情けなくて。それでも、足を運び続けたからこそ、一緒に会社を経営した人や、アドバイスをくれる人にも出会えたんです。
また、「1年間稼がない運動」をやったこともありました。お金をいただくとなると誰かのニーズを満たすことが必要になるので、その間は自分のニーズが見えなくなる。だから、あえて収入を断ち切って、純粋に自分の心に向き合う時間をとったんです。
── 迷い、苦しい時も、とにかく「行動」を続けることが大切なんですね。
ゆっこさん:そうですね、「何もしない」ということも含めて、選択であり行動だと思っています。最近になってまた新たに気づけたこともあって。
わたしは生まれてこのかた「生存戦略モード」で生きてきたんです。コミュニティに所属して、認めてもらわないと価値がない…そんな緊張状態が常にありました。「みんなの役に立って価値を感じてもらえるように」と必死だったんです。
そんな時、大切な友人から「もっと肩の力を抜いてもいい、その方が素敵だ」と言われたんです。最初は「頑張っちゃダメならどうしたらいいの?」と混乱したのですが、徹底的に自己対話を重ね、やがて変化が訪れました。
それまでは「ブレーキとアクセルを同時に踏んでいた」状態。自分らしく生きたいと願いながら、お金の不安、周囲の人の中での自分のポジションが気にかかっていました。でもその緊張から解放されて、ようやく純粋に自分の心の声が聞けるようになってきました。
そこで気づいたのが「わたしは本当に美しいものを見たいだけなんだ」ということ。「みんなが自分の命に感動している瞬間こそが、最も美しい」と。いい意味で自己中心的になれた瞬間でした。
わたしは、人の3〜5倍は葛藤してきたと思います。でも、その経験があったからこそ、今、人の心に深く寄り添う仕事ができているのかもしれません。
── ゆっこさんの活動の軸をあらためて確認できるエピソードですね。
自分を諦めないこと、我がままであることが、自分らしく生きるコツ
── ゆっこさんのように、自分の心の声を聞くコツは何なのでしょうか?
ゆっこさん:「自分を諦めないこと」です。シンプルに、これしかないと思います。
自分の心の声を聞かないことは、自分を大した存在ではないと感じているからでは?と思いますし、それはむしろ「自分を生きる」という大事な仕事に対する職務放棄なのでは?!とすら思います。
── すごくシンプルで力強いですね…! 心の声を聞けたとして、それを叶えようとするとき「わがままなのでは?」とつい感じてしまうのですが、どうでしょうか?
ゆっこさん:「わがまま」の定義をアップデートすることが必要があるんじゃないでしょうか。よく「わがままはダメ」と言いますが、「“我がまま”である=自分を優先できている」ことはとても良いことだと思うんですね。
自分を諦めずに、我がままに心の声を聞いてあげて、自分を信じて行動し続けることが大切だと思います。
“我がまま”を受け入れるという点で、絵はすごく良いんですよ。
絵が描けることって資本主義では意味がないと思われがちじゃないですか。でもアート合宿で、その行為に集中して、うまく説明できない自分の感性や感覚を表現して他の人からも受け入れられる経験をすると、自分の感覚を大事にして良いんだと思えるんです。
「わからないもの」を探す営みを続けていきたい
──最後に、今後ゆっこさんがどのように活動していきたいと考えているのか教えてください。
ゆっこさん:最近考えるようになったのは、「理解されないものをやっていきたい」ということです。今まではまわりに理解されることの優先度も高く、多くの人に認められる範囲でエッジを立てていました。でも今はその制約から解放されて、むしろ「認められてたまるか」というくらいの気持ちです。
これからの時代は、わからないものも抱えていける強さが必要だと思っています。わたしにとって「美しさ」とは、人生を模索している営みそのもの。わからなさを常に抱えながら、諦めずになぜか心惹かれるものを追い求め続けること。そんなわからないものの中にこそ、人生を変えるようなウルトラCが眠っているんじゃないかな、と。
世界で一番美しいものは人の心だと思っていますが、きっと葛藤や苦しみがあるからこそ、美しい。その人の魂の目的が放たれている瞬間、つまり本人が心から楽しみながら輝いている時が最も美しいんです。そんな瞬間を、自分自身含めて創造し続けていきたいです。
(インタビューはここまで)
自分らしさをめいっぱい発揮して、多方面で活躍されているゆっこさん。現在の輝く姿にたどり着くまでにたくさんの葛藤があったことを知ると「悩みや迷いがあるからこそ一番美しいのは人の心」という考え方を、自らが証明してくださっているように感じました。
ゆっこさんの働き方が、あなたらしい生き方のヒントになれば嬉しいです。
・ゆっこさんが運営するアート合宿に関するnoteはこちら
・挑戦者の翻訳者としてのお仕事 ココロイキ
・即興芸術家としてアートライブを行うプログラム SHAKE CIRCUS
そんなゆっこさんが開催する「「わたしを愛おしむ軸づくり~自分のコアの言語化講座」の開催が決定しました。「これがわたしらしい」と思えるコアに気づき、言語化し、自分の活動に一貫性と自信を見出す講座です。
日時:12月10日(火)
・昼の部:12:00~13:30
・夜の部:20:00~21:30
※本講座はオンライン(Zoom)での開講となります。
詳細やお申し込みはこちらから。