はじめまして、フードプランナーのみーるです。滋賀県長浜市出身で、現在は東京と大阪の二拠点生活をしています。フリーランスとして食品メーカーさんの料理レシピコンテンツの制作や飲食店のメニュー監修をしながら、aiyueyoでは一次産業のブランディング事業にも携わっています。自然が大好きで、休日は生産者さんの畑をお手伝いして採れたての野菜を愛でたり、季節によって変わる景色や各地で採れるおいしいものを求めて旅に出たりしてほっとひと息つく過ごし方をしています。

こんな風にプライベートもお仕事も食への愛で溢れているわたし。特にお仕事において食はまさに相棒であり、「食材の新しい魅力を発掘し、それを伝えることで人と人をつなぐ」ことがわたしのミッションだと考えています。今回は、そんなわたしが会社員を辞めて独立し、食の一次産業に注目してお仕事をしている理由をお話させてください。

(畑で食材に触れているときのわたしが一番いきいきしている気がします)

人と人のつながりや喜びを生む「食」の力に惹かれて

「食」で人と人をつなげたり、応援することが好き。

そう強く実感したのは、大学生のころです。当時は漕艇部の栄養チーフとして選手の食事献立作成や調理をしながら、栄養学生団体の副部長も兼務。まさに食づくしの学生時代を過ごしていました。そんな中、食事をきっかけに会話が生まれ皆が嬉しそうにしている様子を見て、食べることは栄養補給としてお腹を満たすだけでなく、誰かを励ましたり喜ばせることにも繋がるんだなと強く実感しました。

大学卒業後は大手総合フードサービス業に就職し、社員食堂などでマネジメント業務やイベントの企画をしていました。多くの人に食事で元気を届ける、とてもやりがいのある仕事だったのですが、大規模であるがゆえにコストパフォーマンスを重視することが求められる現場でした。淡々と素早く食事を提供することがメインであり、好きな食に携わる仕事であるはずなのに、人の温かみを感じられないことが自分に合わず、精神的にも限界を感じ始めていました。

そんなタイミングでコロナ禍の影響で事業所が閉鎖。転職を考えた時に、わたしは「食」を通じてどんなことをしたいのかを改めて考えました。また、心から誇れるスキルを持ち合わせておらず、自分自身を表せないことに不安を感じており、本当に実現したいことのためのスキルも身につけたいと強く思いました。

(大学で一緒に管理栄養士を目指した友人はみんな食好き。今でも手料理のごはん会を定期的に開催しています)

大学で取得した管理栄養士の資格はあるため、食物の栄養価や身体の仕組みはある程度理解できる。栄養の知識で人のサポートをすることも好き。ですがそれ以上に、食そのものの魅力や食材本来の価値を「伝える」ことの方が、わたしのやりたいことに近いのではないかなと気づいたのです。

これに気づいたわたしは、食の魅力を表現するスキルを身につけて多くの人に届けられるようになりたいと思い、文章で食の魅力を伝えるライターとして副業をスタート。さらに会社を退職して上京し、写真や動画で食の魅力を伝えるフードプランナーとして料理レシピ動画サイト運営会社への転職を決めました。

やりがいのある仕事。でも“わたしらしさ”が足りない気がして

料理レシピ動画サイト運営会社では、主に食品メーカーさんとのタイアップコンテンツを担当。ユーザーインサイトや市場調査を基にした、課題解決型のレシピ考案や料理動画撮影を担当していました。魂を込めて作られた商品を多くの人たちに届けるお手伝いをするお仕事で、ただおいしい料理を考案するのではなく、届けたい相手に合わせた難易度や彩り・盛り付けなど、「これならできそう、作ってみたい!」と思っていただけることを心がけていました。食の魅力を伝える仕事は、まさにやりたかったこと。大きなやりがいを感じて仕事に励んでいました。

同時期に、新しいつながりを増やしたいと思い参加したWEBメディア「ハタケト(現aiyueyo)」1周年パーティーをきっかけに、インタビューライターとしても活動させていただくことになりました。

(1周年パーティーでは、メディアで紹介された生産者さんや、皆さんの推し農家さんの食材をたっぷりといただきながら、交流を楽しみました)

自然と仕事と暮らしの心地良い関わり方を見つけ、活躍する皆さんを取材させていただく中で、想いを大事にする姿勢はもちろん、今に至るまでに試行錯誤した過程を楽しそうにお話しされる姿が格好良いなと思いました。その中で、ただの料理家ではなくわたしだけの想い、わたしだからできる食の活動とはなんだろうなとぼんやりと考え始めました。

当時はフードプランナーとしてもライターとしても半人前であることに焦りがあり、休日は家でレシピ考案や盛り付けの練習をしてみたり、文章や写真、デザインの勉強をしてみたり・・・とわたしにしかできない食の表現方法を探していた時期。奮闘する日々は充実しながらも、どこか自分の想いと向き合う時間が取れていないと感じることもありました。

そんな時、aiyueyoの新しい取り組みとして、2021年5月に「ナエドコ」がスタート。0期生として参加し、たっぷりと自分と向き合いました。ナエドコは、暮らしも仕事も、自分らしく幸せに生きていくための場所、仲間、そしてマインドを育んでいくためのコーチング・プログラム。自分の過去を振り返ったり、未来を想像したりすることは社会人になってから機会がなかったのですが、何か変わりたいという一心で、「わたしって何者になりたかったんだろう。」と、自問自答をくり返していきました。この経験が、わたしにとって大きなターニングポイントになったのです。

ナエドコをきっかけに、生産者さんのお手伝いをするために定期的に畑に行くようになったり、ナエドコメンバーと一緒に食の魅力を伝えるイベント主催に挑戦したり、食の根源である食材と触れ合う機会が増えていきました。

(初めてお金をいただいて料理を振る舞ったのは、aiyueyo giftのPV撮影の時。食べる皆さんのことを思い浮かべながら、栄養バランスや彩りはもちろん、推し農家さんの食材をたっぷり使って、畑の魅力をぎゅっと詰め込むことにこだわりました)

畑での出会いが、新しい挑戦のきっかけに

正直大学4年生頃までは農業にあまり関心がなかったわたし。たまたま農家さんから人参をいただく機会があり、普段食べていたものとの味の違いに驚きました。作り手さんや地域によって味が変わるんだ!という食材自体のおもしろさに気づき、食と農業の分野で何かできないかなと模索するようになりました。

ナエドコをきっかけに生産者さんと関わる機会が増えたことで、自然と共に生き、いのちと向き合う生産者さんたちの熱い想いに触れ、その想いはさらに強まりました。「こんなに素敵な生産者さんがたくさんいるのに、日常生活の中で出会うことができないのはもったいない」というモヤモヤから、わたしの心に火がともりました。

生産者さんは、ただ野菜を育てるだけでなく、商品の出荷準備をしたり、新規販路探しやPRなど、休む暇がないほど忙しくされています。だからこそ、わたしが生産者さんやその食材の魅力を発掘して、その感じたことを食べ手に伝えていくことで、作り手と食べ手の架け橋になれるのではないかと思いました。

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(一口に「にんじん」と言っても、色や形、味わいなど様々。素材そのものの、それぞれの良さを届けたい!と思うように)

思い返してみると、大学で漕艇部に所属していたときは大好きな食で人の役に立てることが嬉しくて、スポーツ栄養に興味がありました。新卒で某スポーツチームの専属栄養士になる道もあったのですが、なぜか心が動かなかったんです。それはスポーツに限らずもっと幅広く、志を持ち全力で頑張る人たちを「食」の力で支えることに喜びを感じていたからだと気づきました。

わたしにとって料理やフードクリエイティブはあくまで手段であり、このスキルで生産者さんのお悩みを解決したり、何かに挑戦したい人の背中を押したりすることが本当にやりたかったことなんだと。また、食材が本来もつ個性や魅力を引き出して食べ手へ伝えていくことで、新しい美味しさや食の喜びに目覚め、食への興味が増して食材や生産者さんにも目を向けるきっかけとなるのではと考えています。

この気づきから始めた挑戦のひとつが、2023年4月に東京の赤坂見附ではじまった、間借り営業「ウィズみる」です。ウィズみるとは「料理(meal)と一緒に(with)人の繋がりや食材の魅力を発掘する」をコンセプトにした小料理屋。生産者さんとその食材が主役となる料理の提案を通じて、純粋に食そのものを楽しむ機会をご用意しています。

ウィズみるをはじめる前は、生産者さんの食材を主役にしたスイーツの製造販売でマルシェに出店したり、単発イベントで料理を振る舞っていました。お客さんに直接食材の魅力を伝えると興味を持ってくださる方が多く、味の感想を伝えてくれたり、オンラインで生産者さんの野菜や果物を購入してくださる方もいました。

便利な世の中では、食材はスーパーやコンビニでも購入できます。それでも、わざわざその生産者さんから「買いたい」と思ってもらうには、まずはその食材の魅力を知ったり体験しないとだめだなと思ったんです。

単発イベントでは、その場所に合わせた準備を毎回するのが大変でした。定期開催できる場所があれば良いなぁと思っていた時に、たまたま生産者さんのお手伝いの場で、赤坂にある「野菜と酒Sprout」の店主・大越さんと出会い、間借りでお店を使わせていただけることに。

(生産者さんと食べる人、どちらの温かみも感じて、伝えられる役割でありたいです)

お越しいただく皆さんも、ただ料理を食べるだけではなく、生産者さんとお話ししたり手を動かしたりして食を体感できる場となっています。来ていただいた方同士の新しいつながりが広がっていくことも、食で人と人をつなぎたいわたしの喜びです。

提供する料理は、毎月生産者さんと相談して、食材の良さを一番活かせるようにレシピから考案。試作を行ったのち、その日限りのメニューをお出ししています。前菜からデザートまで野菜づくしで楽しむコース料理は、毎回驚きの声が。新しい食材の楽しみ方を知ってもらえるきっかけの場所となることを心がけています。

もっと食と人をつなぐ存在に

こうした挑戦を通して本当にやりたいことが見えてきたわたしは、2023年7月に会社員を辞めて、フリーランスに転身しました。前職は天職だ!と誇れるほど楽しく、生き生きと毎日を過ごしていたのですが、自分と本格的に向き合う時間をとったこと、そして副業で生産者さんやさまざまな分野で活躍する人たちとの繋がりが増えたことで、生産されるところから食べる人のお腹に届けるまで、全てに関わり「つなぐ」存在でありたいと強く思うようになりました。

プロジェクトの中の切り取った一部分だけでお付き合いするのではなく、わたしが持つスキルでもっと多角的に関わっていくための、新たな挑戦です。

これまでの経験で身につけてきたスキルとしては

・食材の個性を魅せるフードクリエイター
(調理、フードスタイリング、撮影、ライター、ケータリングなど)
・食材の魅力を深掘りするフードプランナー
(レシピ開発、イベント企画など)
・科学的な側面から食材を考える管理栄養士
(食材のもつ成分や栄養素を活かした料理、栄養カウンセリング、栄養価計算など)

などがあります。

また、農家さんや飲食店さんのすでにある魅力を発掘し、よりつながりたいお相手と繋がるためのブランディングをお手伝いするスキルも強化中です。

これらのスキルを組み合わせることで、すでにある魅力の発掘から、想いを形にし、届けたい人に届けるまで、まるっと併走させていただきたいと思っています。

(2023年10月開催のウィズみる「山内ぶどう園さんのいちじく会」の様子。特にいちじくと旬のサンマを組み合わせた春巻きが好評で、スイーツ以外のアレンジの広さを実感していただけました)

「食」は時に人を応援したり、喜ばせたり、感謝を伝えたり、励ましたりするパワーがあります。毎日を楽しく生きていく上で絶対に欠かすことのできない存在です。だからこそ、食の新しい魅力の発掘をこれからも続けていきたいですし、それによって人と人をつないでいきたい。ウィズみるや今後の活動を通じてこの想いを実現できるよう頑張っていきたいです。

一緒にコラボしたい!という生産者さんはもちろん、ウィズみるの時間を楽しんでくださる皆さんとお会いできることを楽しみにしています。誰にとっても身近な「食」の新たな魅力をお届けすることで、一緒に、ワクワクを拡げていきませんか?

ウィズみる公式Instagramはこちら

これまでのお料理や次回開催のご案内をしています!

編集/つきもりちあき

INFORMATION

脇坂 麻友美

脇坂 麻友美

大手総合フードサービス会社に勤務後、レシピ動画サイト「kurashiru」を運営するdely株式会社のタイアップコンテンツに約3年勤務。ユーザーインサイトや市場調査を基にした、課題解決型のレシピ考案や広告料理動画撮影を担当するフードプランナーとして活動。
独立後は兼ねてから興味のあった一次産業にフォーカスし、食材や生産者が主役となる料理の提案を通じて、食の魅力の発信や人の繋がりを重視した活動を行う。

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