2020/05/21

フリーランスにおすすめしたい、家庭菜園がもたらす効果【 畑の魅力伝道師 やなぎさわ まどか 】

※畑のそばの、豊かな暮らし発掘メディア「ハタケト」は、2022年9月1日より愛食メディア「aiyueyo」にリニューアルしました。

こんにちは。ハタケト畑の魅力伝道師としてコラムを書かせていただいている、ライターのやなぎさわまどかです。趣味と実益を兼ねた家庭菜園の楽しみを紹介してるこの場ですが、今日は少し「働き方」について綴ります。

ポストコロナの見解が飛び交ってますね。
「アフターコロナは生き方を変えよう!」なんて声も多く見られるようになりました。個人的には、暮らしを見直す人が増えて地球環境が良くなることには大いに賛成ですし、誰もが自由な社会を望むひとりとして、暮らしを変えたい人を心から応援しています。

とはいえ「生き方を変える」とは、かなり広い概念ですし、具体的にどうしたらいいのか分からない、という人もいるでしょう。

わたしの場合、社会人になって以来もっとも大きな人生のターニングポイントは、会社員を辞めてフリーランスになったことでした。はじめのうちは生活のバランスがうまく確立できず、張り切りすぎて自分のキャパを超える仕事を受けて疲弊したり、休日がうまく作れなかったこともあります。

また、常に”最寄り駅まで徒歩10分以内”を物件探しの最優先にしていた都市生活者のわたしが、神奈川県とはいえ最寄り駅まで車で20分掛かる山間部に越したことも、大きな暮らし方のシフトでした。ペーパドライバー歴10年でしたが、今は日常的に車も運転しています。

(野草や山菜が元気になる5月は「たけのこ」そして「よもぎ」の季節。よもぎ餅をつくったり、よもぎ風呂にするなど、より一層自然への感謝が募る時期)

ワークとライフは「バランスというより一体型」に

お恥ずかしながらわたしは決して、明確な目標設定やキャリアプランニングをしてきたタイプではないのですが、それでもフリーランスになるときに「生活をダウンサイジングしたい」と強く思ったことを覚えています。

ブランド品やお金のかかる趣味はないものの、節約も一切していない。そのためまず、月々の固定費を見直して、新しい暮らしのために必要なコストを考えました

かなり初歩的なことに思われるかもしれませんが、この自己分析によって「何が譲れて、何が譲れないか」、いわば変えたい方向性が見えてきたのです。

例えば当時のわたしは、
▷スマホはSIMフリーの旧式でいいけど、Macのスペックは譲れない。
▷万が一の事態が起きても迷惑をかけないように、サブのMacとHDDは必須。
▷取材先でもネット環境が必要かもしれないから、ポケットWifiは継続する。
▷節約は大事だけど、エネルギー自給のソーラーパネルとバッテリーは備えたい。
▷節約は大事だけど、心身の健康維持のためにオーガニックコットンの寝具に変えたい。
▷節約は大事だけど、いざという時の保存食づくりと、家庭菜園は続けたいし広げたい。
と、いった感じ。

すでにお分かりになった方もいるかもしれませんが、新しい働き方のコストを考えていた話が、だんだん仕事から離れ、最終的にはお布団と食べ物の話になっていました(笑)

偶然的ではあるものの、このリストをつくることで、フリーランスライターとしての優先順位が、仕事を超えて暮らしに直結していたことが可視化されたのです。

どっぷりと会社員生活に浸かっていたわたしには新鮮でもありましたが、仕事が生活の一部だと実感できました。この「選択の自主性」こそがフリーランスにとって最大の醍醐味、そして、自分の心身を健康に保ちながら暮らすことに欠かせないことだと、現在まで日を追うごとに実感しています。

(やってくる6月は梅仕事の季節。昨年は、自宅裏の小さな1本から20キロ以上の大豊作で、梅干し、梅シロップ、梅酒、梅サワー、梅味噌とたくさん作りました)

家庭菜園は自主的選択の極み

自主的な選択は自由性がある反面、判断力が試されるような、ある種の覚悟を求められる難しさが伴います。でも実は、家庭菜園をしてると、同じような機会は多々やってくるものです。

畑を借りてみたものの、畝の高さひとつ悩ましい、種をまくタイミングや場所も決めなくてはいけませんし、芽が出たらいつ間引きするのか、草が生えたらどこまで取るか、収穫はいつかなど、家庭菜園は常に判断の連続です。

今ではもう懐かしい思い出でもありますが、たしか初めてプランターで茄子を育てたとき、その前から「苗の元気を保つために最初の実は早めに収穫すること」と学んでおきながらも「もう少し大きくさせたい…」と考えているうちにタイミングを逃し、結果、全ての苗から1個ずつしか採れませんでしたし、もっと言うと、実は今現在も、長ねぎの植え方を完全に誤ってしまい、いつまでも苗のように細い長ねぎが並んでいる始末です。(やり直そうかと思ってはいますが、これまた自己判断)

ほとんどの農作物が年に1度、多くても2度の季節仕事ですから、畑のトライアンドエラーはこの先もずっと続くことでしょう。ならば自分の判断力を信じてハラをくくる。選択すること自体を楽しみながら続けるが重要なんだと、細いねぎを見ながら実感しています。

人生だって、毎日が選択の連続です。
フリーランスになったら、全て自分で決められるし、自分で決めなくては誰も決めてくれません。

「人生を変える」かどうかも、日々の選択の一つです。
それを何気なく決めるか、主体的に決めるか。今度何かを決めるときに、少し意識してみるとわかりやすいかもしれません。

もしかしたら、変える前から悩んでいたことがただの取り越し苦労だったと思うかもしれないし、もしくは、本音では変えたくない気持ちが潜んでいたと気づくかもしれない。

わたしの人生ももちろんまだまだ迷うことばかりですが、家庭菜園の存在は、主体的に決める訓練の場として支えてくれています。

ライター/やなぎさわまどか