2022/11/25
仕事と暮らしを共生させる。境界線を無くせた食と暮らしを味わう選択
「サラヤと愛ある暮らし」連載では、人と地球の両方にやさしい暮らしを探求するサラヤ株式会社と一緒に心地よい日用品の選び方を見つけていきます。
今回お話を伺ったのは、aiyueyoでアートディレクター兼デザイナーを担当するさとうたまさん。デザイナーとして10年以上のキャリアをもつたまさんのぬくもりある優しいデザインは、可愛らしさだけではなく安心や温かさを感じます。本連載のバナーもたまさんがデザインしたもので、緑のハートは新芽の意味がこめられているとか。そんなたまさんは、「仕事と暮らしを共生させる」ことを実践中。aiyueyoとの関わりやサラヤ商品を使用するなかで、仕事と暮らしの共生を実現していったとたまさんは話します。
日々戦っていた「ひとりで働く」から、揺らぎを受け止める「チームで働く」へ
── 仕事と暮らしを共生させたいと思ったきっかけは何ですか?
たまさん:きっかけは、妊活を始めたいと思ったことでした。8年前は広告制作会社に勤めていたんですけど、夜中まで仕事をしてしまうことが多く、会社に勤めながら妊活するのがすごく難しくて。それから転職し、子どもも生まれ、仕事と暮らしの行ったり来たりな生活が始まりました。そのときに時間が有限であることにやっと気づき、暮らしとの境界線を無くさないとやっていけないと思ったんです。「子どもとの時間を割いてでも受ける仕事」かを基準に考え、仕事と暮らしを共生させる「食と暮らし」を軸にした仕事がしたいと思い始めました。
── 働きかたはどのように変わりましたか?
たまさん:大きく変わったのは、TUMMY代表のあべなるみさんと出会ってチームで働くようになったことですね。転職後、個人ではもちろん会社でもデザイン業務はひとりで行っていました。ひとりで働いていたときと比べて、黙々と集中する時間は減りましたが、それ以上に心強さが生まれたり、揺らぎを受け止めたりして、人として成長できる時間になっています。わたしの世代は仕事で戦うのが当たり前だったので、仕事を断ったり手放したりすることに異様な怖さを感じていましたが、チームで働くようになってその鎧が少しずつ剥がれてきているなと感じます。
仕事から生まれる、暮らしの愛着
── 仕事と暮らしを共生させてから、たまさん自身の変化はありましたか?
たまさん:自分が普段使うものは意志をもって選びたいと考えるようになりました。「自分が納得できるものにちゃんとお金を使いたい」という意志を。きっかけは、「サラヤとハタケの愛ある暮らし」のバナーを制作するときに、サラヤさんってどんな会社なんだろうと興味をもったことでした。サラヤさんは商品の売り上げの一部を発展途上国の支援や環境保全活動に充てていることを知り、すごく素敵だなと思いました。以前から「アラウ.」や「ラカントS」はサラヤさんの商品とは知らずに使っていましたが、サラヤさんのことを知ってさらに商品への愛着がわきましたね。「ヤシノミ洗剤」と「WASH BON」を使い始めたのも、サラヤさんだったら使いたいなと思ったからなんです。
── サラヤさんの商品を使い続ける理由は何ですか?
たまさん:サラヤさんの商品はいい意味で「気になる」ところがなかったんです。わたしは匂いが気になったり、手が荒れたり、価格が高すぎたりすると使うのをやめてしまうけど、サラヤさんの商品にはそれがありません。たとえば、ハンドソープの「WASH BON」はワンプッシュするだけでモコモコな泡が出てくるので簡単にしっかり手を洗えるし、ヤシの実由来の成分でできているので手肌に優しいうえに香りも気にならないんです。これらの点がわたしにとってちょうどいいんですよね。「ちょうどいい」は背伸びしなくていいということで、これは暮らしの中ですごく重要な視点だと思っています。
仕事も暮らしも子育ても全てが繋がる生活
── 仕事と暮らしの境界線がなくなってきたと感じるのはどんなときですか?
たまさん:仕事を自分の暮らしに取り入れて、それを息子と楽しんでいるときです。デザインで関わった農家さんの商品が食卓に並ぶと、息子が「これお母さんがお仕事していた〇〇さんのだよね^^」って楽しそうにしてくれるんです。そんな息子の姿がわたしもうれしくて。デザインを考える過程でも、わたしの真似をしながら、息子なりにいろいろ試して描いてみています。親の仕事が子どもの好奇心を育てるきっかけになっているのはすごく幸せなことだと思います。
サラヤさんのバナーを制作してからは、デパートで息子とサラヤさんの商品を見つけると「これもサラヤさんだね」って言いながら“サラヤさん探し”を楽しんでいます(笑)息子は未来をつくっていく世代だから、幼いときからサラヤさんっていう存在を知っていることにすごく意味があると思うんですよね。サラヤさんは地球の未来をつくる会社だと思うから。aiyueyoの仕事を通して出会った農家さんやサラヤさんの商品は、仕事と暮らしの共生だけではなく子育てにも繋がっていると思っています。
── たまさんが仕事と暮らしで大切にしたいことは何ですか?
たまさん:一つひとつをお腹いっぱい味わうことです。食べ物はもちろん、日々のできごとや感情にきちんと目を向けていきたいと思っています。それは良いことも悪いことも全部含めて。自分と価値観や意見が違っても、理解しようとする姿勢が大事で、それこそが愛だと思うんです。
仕事と暮らしが共生できたからこそ、次に見えてきたもの
── 今後の課題はありますか?
たまさん:次は、暮らしの比重を下げない仕事のバランスを見つけたいです。すでに数年前に思い描いていた仕事と暮らしのバランスに近づいてきていますし、頼まれた仕事は心を込めてやり切りたいと思っています。ただ、忙しいときは少し家族に我慢をさせてしまっているのが現状です。時間は有限なので、暮らしの時間もきちんと確保したいんですよね。
── ナエドコ(働き方と暮らしを考えるTUMMYのプログラム)に参加されたのはそれが理由ですか?
たまさん:そうです。仕事と暮らしを共生させるための次の段階として、仕事と暮らしのバランスをもう一度見つめ直したいと思ったのがナエドコに参加した理由のひとつです。ナエドコを通して検証したいと思っているのが、お金などの物質的な総量は一時的に減ったとしても幸せの総量は減らさず、今よりもっと増やしていける働きかたや暮らしかたです。それは、自分が納得できる関わり方をすること、周りの人に喜んでもらえること、そしてその先に暮らしや家族との幸せにつながっていること。そんな愛ある暮らしの形を目指していきたいと思っています。
(インタビューはここまで)
仕事での関わり方、家族への寄り添い、日用品一つ一つの選択、あらゆる点において「自分が納得できること」を大切にされているたまさん。そんなたまさんの心持ちは「仕事と暮らしの共生」を育む水となり、光となっているのだと感じました。また、取材中にとても印象的だったのがたまさんのしなやかさと芯の強さ。自分にとっての「ちょうどいい」を模索しながらも、大切にしたい人やものへの愛を研ぎ澄ましていく。その姿勢こそが、豊かな暮らしの根幹になっているのだと思いました。
ライター/はま 編集/あんどうまりこ