2024/05/08
美味しいものを食べて幸せに 茨城から夫婦で届けるしいたけ
「人も食も、いのちはすでに魅力的!」と考えているaiyueyoでは、らしさがあふれるごきげんな人生の実現を応援しています。人生の大きな割合を占めるのが仕事。そんな仕事を自分の強みや想いの宿った「ナリワイ」に変えている方々がいます。この連載では自分のナリワイを楽しむごきげんな大人たちを紹介していきます。
今回お話を聞いたのは、茨城県笠間市で田村きのこ園を営む川島ご夫妻(ひらくさん、あつみさん)です。お二人は、笠間市で60年以上しいたけを栽培してきた田村さんの事業を継承し、大きくて肉厚な「福王しいたけ」を栽培、販売しています。田村きのこ園を引き継いだ経緯、夫婦で農業をおこなう日常について伺いました。
豊かな旨みや香りに感動し、弟子入りを決意
── 田村きのこ園を引き継いだ経緯を教えてください。
ひらくさん:田村きのこ園は、もともと田村仁久郎さんが60年以上しいたけを栽培していたきのこ園で、田村さんが長年試行錯誤して生み出したのが「福王しいたけ」です。田村さんとは、わたしが地域おこし協力隊として笠間市の農家を訪問していた際に偶然知り合いました。
「福王しいたけ」はとにかくサイズが大きくて、大きいものでは10cm以上になります。肉厚で、旨みも香りも濃くて、今まで食べてきたしいたけのなかで一番美味しい! と、はじめて食べた時に感動したんです。「この味を未来に残したい」と思い弟子入りを志願。2年間修行し、2022年4月に事業継承しました。
── あつみさんは、ひらくさんから弟子入りしたいと聞いてどう感じましたか?
あつみさん:最初は驚きましたね。しかし夫の「弟子入りして、未来に残したい」という想いや、地元の人からの「後継者がいなくて、福王しいたけが無くなってしまうのは悲しい」という言葉は聞いていましたし、わたしもはじめて食べた時にみなさんの言葉すべてに納得しました。たしかにこれは引き継ぎたいと思う存在だなと。
自分たちで作ったしいたけをほぼ毎日食べていますが、何年経っても本当に美味しいと心底思います。シンプルに焼くだけでもいいですし、煮物や混ぜご飯、汁物などどんな料理に使っても、豊かな風味を感じることができます。
夫婦で営む農業のかたち
── Instagramのリールに載せられていた夫婦で農作業されている姿が印象的でした。
ひらくさん:Instagramのリールには、1年で一番忙しい菌床の仕込み作業の様子を載せました。おがくずやふすま、米ぬか、水などを混ぜたものを袋詰めして殺菌し、そこから菌入れへと続いていきます。この作業に来年度のしいたけの全てがかかっているので、気の抜けない作業なんです。
大変な作業ですが、二人で楽しみながらやっています。妻は会社員もしているので、二人でずっと一緒に作業するのは、この仕込みの時くらいですね。
── あつみさんは会社員もされているんですね!
あつみさん:いつか農業をやりたいという気持ちもあったんですが、脱サラして農業をやるか、会社を続けるかのどちらかしか選べないと考えていたんです。でも会社員の仕事も好きなので、どちらもやる道はないかなと模索して、会社にも相談した上で今の形になりました。両方好きだから、両方やっちゃおう! と。
── ひらくさんはあつみさんの働き方をどう感じていますか?
ひらくさん:自分の仕事もしながら農業をやりたいというのは聞いていたので、それを会社と折衝して実現していてすごいなと感じています。SNSやネット販売は妻に担当してもらうなどそれぞれの得意を活かし、協力しあっています。
しいたけの魅力を伝えるさまざまな加工品
── どんな商品が人気なんですか?
ひらくさん:箱入りの贈答用や大きなサイズのしいたけのパックが一番人気です。干ししいたけも香りの良い出汁が出て、具としても柔らかいとご好評いただいてます。一番の旬は10-11月なので最近はご家庭用(小・不揃い)の販売がメインなのですが、そちらも料理に使いやすいと人気です。
最近は新商品として、地元のチーズ工房であるFROMAGERIE(フロマージェリー)つくばさんと一緒にしいたけカマンベールチーズを作りました。
── しいたけが入ったカマンベールチーズ! 気になります!
あつみさん:干ししいたけを一晩水につけてから煮出した出汁を、戻した干ししいたけごといれたカマンベールチーズなんです。チーズのなかに干ししいたけが大理石のように埋め込まれていて、食感も楽しいチーズになっています。チーズと干ししいたけの香りのバランスが良く、お酒との相性も抜群です。
── 愛食フェスでは、どんな商品を販売されるんですか?
あつみさん:愛食フェスでは、しいたけのバター醤油焼きをその場で焼いて出す予定です。今回は季節的に小ぶりなしいたけになってしまうのですが、他のしいたけとの旨みや香りの違いをより楽しんでもらえると思います。その他に、しいたけカマンベールチーズ、生しいたけ(収穫量による)、干ししいたけ、オリジナル菌床しいたけTシャツも販売する予定です。
ひらくさん:「福王しいたけ」という名前には、「美味しいものを食べて福が来てほしい」という想いが込められています。「美味しいものを食べるのが、幸福への一番の近道」だという先代の考えがあるんです。愛食フェスでも福王しいたけを食べて幸せを感じてもらえると嬉しいです。
「この味を未来に残したい」そんなひらくさんの想いによって、丁寧に栽培が続けられている「福王しいたけ」。その魅力をさらに伝えていくために、夫婦二人三脚で新しい商品の開発にも積極的に取り組んでいます。しいたけの常識が覆される味と香りを、愛食フェスでぜひ体感してください。