2024/02/13

「世界を無視しない大人になる」フリーランス国際協力師・原貫太さんが伝える世界を正しく見る習慣

aiyueyoは人にも地球にもやさしい暮らしを叶えたい企業や団体と手を取り合っています。本連載では日常の小さなエコアクションを応援するコミュニティ「暮らしの目からウロコ」と一緒に地球にやさしい暮らしを楽しむヒントをお届けしていきます。

2024年1月10日(水)、フリーランス国際協力師・原貫太さん講演「世界を無視しない大人になるために」が暮らしの目からウロコ主催で開催されました。

アフリカで支援活動しながらYouTubeや書籍で国際協力を発信し続けている原寛太さんのお話は、私たちの生活がどんな影響を与えているのか、今、自分に何ができるのか?を考えるきっかけになりました。

この記事では暮らしの目からウロコのオンラインコミュニティ、ウロコミュニティ会員のさっこさんにレポートしていただきました!

原貫太さんが国際協力を目指したきっかけ

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原さんは19歳の時に、貧困の現状を見ようと東南アジアのフィリピンのスタディツアーに参加。

そのツアーの最終日、ボロボロの服をきた7歳くらいの女の子が赤ちゃんを抱っこしながら、「お金をください」と物乞いをしていた様子を見た原さん。そのできごとが衝撃的で、自分にできることを探したいと思ったことが国際協力を目指したきっかけの一つだそうです。

私自身も大学生の時、フィリピン、カンボジア、ベトナムのスタディツアーに参加しました。やはりその時の衝撃は本当に大きく、その後、また海外にいこうと思うきっかけになりました。何かをやってみたいと考える人にとって、スタディツアーはとても良い機会だと思います。

原さんはその後、海外で感じたことをSNSで発信。しかし、海外で感じた問題についてはSNS のいいねが少なく、伝える力なさに無力感を感じたそうです。

現地の活動からYouTube発信へシフトした理由

原さんが現地での支援からYoutubeでの発信活動へ変わったのは以下の理由だそうです。

  • 自分一人では限界を感じたから
  • 現地での支援は対処療法にすぎないのでは?と思ったから

原さんがウガンダで難民支援をしていた時、南スーダンから逃げる最中で、旦那さんが軍に捕まってしまった女性や、はえが集ってしまったボロボロの服を着た少年に出会ったそうです。その様子を見た原さんは、帰国後、資金を集めて人道支援に関わります。

その時、原さんが助けられたのは400人。しかし、被害にあっていた人は200万人。全員を助けれられない無力感と一人でやる限界を感じ、仲間を増やすためにも、発信活動を強化するようになったそうです。

また、現地での支援は対処療法に過ぎないのでは?そもそも日本に暮らしている私たちの行動が、貧困や環境問題、戦争につながっているのではないか?と考えるようになったことも、発信活動に力を入れるようになった理由とのことでした。

私たちの日々の行動が戦争につながっているかも…と聞くとドキッとしてしまいました。そこから私たちの生活がどのように貧困の原因になってしまっているのか?具体例をあげていただきました。

自分の洋服はどこからきている?

ファストファッションの多くはバングラデシュで作られています。実際に現地で働いている方は、賃金も少なく、生活が厳しい状況が続いていることも多いそうです。そんなバングラデシュでは縫製工場の劣悪な環境が問題となっており、2013年に起こったラナプラザ崩落事故が起こりました。

8階建てのビルが崩壊し、1,100人以上が犠牲に。ここでは先進国の人たちが着るファストファッションを作るために、低賃金、劣悪な環境で現地の人々が働いていたのです。原さんが現地でお話を聞いた人の中では、当時時給20円で働いていた人もいたそうです。

ファストファッションは身近な存在ですが、どうしてそんなに安く作れるのか?誰かが犠牲になっているのではないか?と買い物をするときに考える必要があると強く思いました。

経営者から賃金が支払われていない、後遺症が残って苦しんでいる人が今も多くいて、現地では10年たった今でも抗議活動が続いているそうです。

洋服はどこへいく?

服を手放す手段の一つとして、着なくなった服を自治体やアパレルブランドのリサイクルに出したことがある人も多いのではないでしょうか。

リサイクルに出された服の多くは日本から海外へ送られますが、その数なんと年間24万トン!最終的にはアフリカにいくことが多いそうです。

リサイクル品として輸入された服は現地で一着数円〜数十円で販売されるのですが、その安さゆえに、現地の人の繊維産業を破壊することにつながっています。なんと8割が失業したというデータも!

私たちのリサイクルが、現地の人の経済的自立を妨げているという事実に、とても怖くなりました。ガーナではなんと毎週1,500万着が輸入されていて、最終的に4割が埋立地へ。そのうちの一部は海岸へ流出し、環境問題も引き起こしています。

日本に住んでいる私たちは、いつでも気軽に、安く服が手に入りますよね。ついSNSで目立つ流行りの服が欲しくなっては衝動買いし、流行りが終わるとまだ着られるけどもう着たくない…そんな服を手放す時は罪悪感があります。

リサイクルに出せば捨てるよりも罪悪感が減るような気がしていましたが、巡りに巡って現地にとってマイナスな影響を与えているんだなと気付かされました。

印象的だったのは、「そもそも洋服は作られすぎている」という言葉。SNSやファッション誌を見ると、つい色々欲しくなってしまいますが、洋服を買う前には、「長く着れるかをよく考える」、「手放す時はフリマサイトで販売する」など、洋服の入口から出口まで考える必要性があると感じました。

スマートフォンの私たちの生活

最後に、私たちの生活にとってなくてはならないスマートフォン。スマートフォンの製造にはレアメタルが使われています。そのレアメタルが豊富に埋まっているコンゴ民主共和国のお話です。

レアメタルを掘るため鉱山で働く環境が劣悪で、ヘルメットを被っていなかったり、児童労働が行われたりしていることが問題視されています。

コンゴ民主共和国は、世界一豊かで世界一貧しい国と呼ばれているそうです。天然資源が豊富なのに、現地の人はまた低賃金で危険な仕事をさせられている、最新の電子機器を購入することが誰かの犠牲の上に成り立っているということに世界の歪みや矛盾を感じました。

また、コンゴ民主共和国の鉱物は紛争が続く要因にもなっているそうです。その紛争は世界最悪規模にも関わらず、報道もされないという事実にも驚きました。

本当に意味のある社会貢献とは?SDGsを知る前にやることがある

「SDGsを学んでいたとしても、自発的な意志が欠けていると、意味のある社会貢献とは言えない」と主張する原さん。

私たちが問題意識を保つために必要なことは、まずは世界の問題と自分達のつながりを知ることだと教えてくださいました。

まさに、本日話していただいた、スマートフォンや洋服の話につながります。

私たちの何気ない私たちの行動が貧困や戦争を引き起こしているかもしれない、便利で豊かな私たちの生活は誰かの犠牲の上に成り立っているかもしれない。日常の生活で、そんな繋がりをまずは意識することが大切だなと感じました。

きっとスマートフォンや洋服はその一例。他にも食料品や、エネルギーなど身近なことでも、まずはつながりを意識してみましょう。

「私たちが変われば、世界は変わる」「小さい変化が世界を変えることができる」と原さんはおっしゃっていました。

身近な人と話すことから始めよう

講演会は兵庫の武庫川女子大学の学生が無料招待され、約100名が参加しました

最後の質疑応答では様々な質問が出ました。原さんは何度も「0か100で考えないことが大切」とおっしゃっていたことが印象的でした。

例えばレアメタルの問題でも、原因はとても複雑です。

解決策としては以下のように、様々な角度からのアプローチ方法を提案してくださいました。

フェアトレードのスマホを使う
今使っているスマホを長く使う
スマホのレアメタルをリサイクルする
サポートしているNGOを支援する

紛争問題や環境問題、貧困などを考えると、問題が大きすぎて自分には何もできない…と無力感になってしまう時があります。そんな時も、いろんな角度から、今できる解決策を自分なりに考えて実行することが大切ですね。

また、大学生からの「今日から私たちができることは?」という質問の回答には、「今日聞いて学んだことを誰かに伝える、発信する」とお話されました。

それならすぐにできそう!と思い、早速、私も夫に話しました。

「関心を持ち続けていると、いつか必ず具体的な行動につながる。そして関心を持ち続けるためには、言葉にして伝えて、同じような人とつながることが大切」と原さんは締めくくりました。

国際協力に関してさらに深めたい、仲間が欲しいと思った方は、原さんのオンラインサロンSynagyもおすすめです!

原寛太さんの各SNS もぜひご覧ください。

オンラインサロンSynergy:https://peraichi.com/landing_pages/view/kantahara-salon

Twitter:https://twitter.com/kantahara

Instagram:instagram.com/kantahara0422

著書:あなたとSDGsをつなぐ「世界を正しく見る」習慣

ライター:さっこ
暮らしの目からウロコのオンラインコミュニティ、ウロコミュニティ会員。
北陸在住WEBフリーランス。 開発途上国に住んだ経験から、大量生産・大量消費社会に疑問を持つようになる。 無理なく、楽しく、ゆるいエコな暮らしを実践中!
Twitter:https://twitter.com/sakko_laos blog:https://sloowlife.com/

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