2020/11/24
制するべきは朝じゃなかった。完璧な朝を求めてぐるぐるした私がたどり着いた現在地。【畑の魅力伝道師 やなぎさわ まどか】
※畑のそばの、豊かな暮らし発掘メディア「ハタケト」は、2022年9月1日より愛食メディア「aiyueyo」にリニューアルしました。
皆さん、こんにちは。食や環境をテーマにしているライターのやなぎさわまどかです。今日は朝食のことを書きたいと思っているのですが、それにしても朝って一体、なにをどう食べるのがいいんでしょうか。朝食の前にまずは、朝の過ごし方から考えてみたいと思います。
朝の呪いにかかってる人はいませんか?
「朝を制するものは1日を制する」
改めて文字にしてみると、なぜそんなに制したいのかと疑問すら感じるフレーズですが、これは長年わたしが囚われていた呪縛です。小さい頃一緒に住んでいた祖母は口癖のように「早起きは三文の徳」と「働かざる者食うべからず」ばっかり言っていたので、ほぼ間違いなくおばあちゃんのせいでしょう。小さい頃から、ちょっと寝坊すると、遅刻もしてないのに罪悪感で自分を責めていた節があります。
呪いの真っ最中にいた会社員時代は、睡眠不足だろうと5時には動いていて、出勤前にジムに行ったり、早朝セミナーに参加したり、さらには朝のうちに掃除や洗濯が終えられていることに、「これで私は朝を制しているのだ…!」と思いこんでいました。
少しずつ変化したのは、やはり自分の食や暮らしに意識が向き始めてからです。
意識が変わり、体が変わり、朝が変わる
5時に起きれないたびに自分を責めるなんて精神衛生上どうなの?と思うようになり、起きれないときはなぜ眠いのかを考えるようになりました。
すると、生理中だったり、前の晩が遅かったり、消化しにくいものを食べたなど、体を休めたい何らかの理由が思い当たるわけです。それなら今日は体を休めよう、と体の声に応えることをし始めました。
この力は絶大で、どんどん強まります。
生理中に睡眠を多くすると生理痛も軽くなるし、寝不足を解消すれば単純に翌日以降が充実するし、消化にいいものを選んでいると胃腸が快調になるなど、体がいい変化が循環し始めるからです。
体が快調になることで長年の呪いも解けていきましたが、もっと快適でありたいと思った私は、それからずっと体の声を聞き続け、眠い時には寝るし、食べたいものを食べたい時に食べるようになりました。
体の声に合わせていると、どんどん体が変わり始めます。
消化に時間の掛かる動物性食品は欲さなくなり、たばこも要らなくなって、お酒は元々弱いので良いものを少しだけ。冷たいものが食べたくなるのも真夏の数日くらいで基本は常温。また、生理中は10分でも早くベッドに入るようにしたら、そのうちそれが当たり前になって、特別な状況でない限りは日付が変わらないうちに寝ます。もっと早く寝る日の方が多いです。そうすると自然に朝も早起きになり、十分に寝てるため、寝起きはデフォルトですっきり快調なのです。
ここ最近は基本的に、朝起きたらお湯を沸かしながら顔を洗い、お白湯を飲みながらヨガや瞑想をして、お昼までにいくつやりたいことを終えられるかと、午前中こそフルスロットル。
と、この朝の過ごし方って、まるで”朝を制してる人”みたいじゃありませんか?(笑)
つまり呪縛が解けた後こそ、自然に”朝を制する”ことができたわけです。正直、ただの結果なので、制するという言葉も必要ない感覚です。制したのか制してないのか、よくわからない(笑)ひとつ言えることは、毎朝快適だということです。
朝ごはんも柔軟でヨシ
朝食についても同様で、ライフスタイルや体の状態に合わせて変わるのがいいと思っています。
私自身もその時のライフスタイルによって、ご飯と味噌汁だったり、パンと目玉焼きだったり、おむすび、お粥、スムージー、など、色んな朝ごはん遍歴を行ったり来たりしてきました。ちなみに今は、昼食まで固形のものを食べない日がほとんどです。理由は、朝から出掛けることや、畑で滝汗を流す季節でもないため、朝お腹が空いてないから、という単純な理由。もう少し冬本番になったら朝からエネルギーを求めるかもしれないし、遠出する取材などがまた増え出したら朝からしっかり食べるでしょう。
かつての私の呪縛も、気づけばなんてことない、ただ思考に柔軟性を失っていただけでした。5時に起きれなくても問題ないし、ドトールやコンビニで朝の空腹を満たした自分を責める必要もないし、そもそも何かを制しようとすること自体が違ったわけです。
朝は誰にも制されたりしないんですね。
おばあちゃんの口癖の真意も、ただ時間を無駄にせず勤勉であれ、ということだけでした。気づくの遅くなってごめんね、と今日は空に向かって手を合わせておこうと思います。
ライター/やなぎさわまどか