2022/08/23
微生物がわたしに教えてくれた、変わるハタケトに愛を込めて贈ることば
※畑のそばの、豊かな暮らし発掘メディア「ハタケト」は、2022年9月1日より愛食メディア「aiyueyo」にリニューアルしました。
メディア「ハタケト」の編集担当、やなぎさわまどかです。2022年の夏、わたしの小さな家庭菜園は例年ほどの量が作れなかったものの、変わらない幸せを享受できている自分に気づけたことが何よりの収穫でした。今日は9月からの新生ハタケト、aiyueyo誕生について考えながら綴ります。
大地に根を張り、芽を出した存在に
その発信内容から愛らしく聡明な人柄を想像していた女性からある日、メディア運営に関する質問をDMでもらいました。なぜ私に??もっと専門家らしき人とご縁もありそうなのに??と思いながらも自分なりの回答を送り、数回のやりとりを経て、仕事として相談したいと連絡をもらいました。このDMの相手こそ、現メディア「ハタケト」代表のあべなるみさんです。
まだ名称が確定前でしたが、すでにコンセプトが固まっていたメディアの構想を聞かせてくれた日から数週間。あっという間に予定通りの日程で公開された「ハタケト」を見て、なんとパワフルで頼もしい人だろう、とまぶしく感じていたことが懐かしいです。
懐かしい、と書いたものの、最初のDMは2019年秋、ほんの3年弱しか経っていません。でもこの間、メディア「ハタケト」は急成長を遂げてきました。
まさにタネから芽吹いた野菜が成長するかのごとく、新しい葉を増やしながら、幹を太く、背を高く、土中の根っこもぐんぐんと広がりました。わたしは記事の仕上げを手伝いながらも、どんどん増えていく仲間たちの頼もしさに圧倒されっぱなし。光を求めて上を向く生命体は、誰もがみんなまぶしくて頼もしい存在なんだと気づかされた3年間だったように思います。
ハタケト、そしてaiyueyoをつくる人たちへ
先日お伝えされたように、ハタケトは間もなく「aiyueyo」に変わります。メディアとしてさらなる実りを届けられる存在であるために、新しい姿となって、もっとしっかり太陽の陽を受け止めるようになる予定です。
わたし自身、ささやかながらその一人であるものの、ハタケト、そしてこれからaiyueyoを作る人たちを見ていると、いつも(初めて言葉にしますが)微生物の世界みたいだなぁと思っています。
いま「微生物」と聞いてニョロっとした何かを想像した方のために補足すると、微生物とは目には見えない小さな小さな生き物たちのこと。たった1gの肥沃な土には、何億種もの微生物がいるんだとか。それでもいまだ9割方が未知だとされるほど未開の存在なれど、私たちの体も、微生物のはたらきによって免疫反応などが健やかに保たれています。つまり地球上の生命を支える存在、それが微生物。
微生物は、誰かが働いた後に、他の微生物へバトンタッチすることを繰り返し、みんなで少しずつ何かの状態を変化させます。ひとりが出しゃばって前に出たり、全部の手柄を独り占めしようとしたり、誰かを蹴落としたりするようなことはしません。自分の役割を全うしたら、次の誰かにバトンを譲り、常に自分が気持ちよくはたらける環境を求めて、その場で自分を発揮して、仲間と助け合いながら生きる。それが微生物のはたらき方です。
微生物の世界を「愛と調和で成り立っている」と言い、「人間も微生物のように生きれば、争わなくても生かされる」と、働き方や生き方に重ねて説かれたのが書籍『発酵道』です。初めて読んだ時から何度も何度も手に取ってきた、わたしの人生の一冊。
この本に感銘を受けて以来、自分の人生も微生物的になることを常に意識してきました。これまでハタケトで記事を作り、そしてこれからaiyueyoになるところで周囲を見渡すとき「あぁ、ここも微生物の世界だ」と感じるようになったのです。
みんなが横の誰かを思い、自分を活かしながら周りも活かすことを自然発生的にできている。これからも引き続き、食と暮らしを大切にしたメッセージを作っていこう。その気持ちを込めて、最後に『発酵道』からの一節を贈ります。
自然界には法則がある。その法則をきわめようとした近代科学は、逆に自然界そのものから離れていったのではないのか。自然から遠ざかれば遠ざかるほど、不幸や病に近づくことになったのではないか。(中略)混迷する世を救い、人として進むべき道を明らかにしてくれる鍵が、微生物の暮らし方のなかには、いっぱい隠されていた。人類が本当の平和、健康、幸福を達成する方法も、そこにあるのではないかと思う。
寺田啓佐『発酵道』
ライター/やなぎさわまどか