サラヤと愛ある暮らし」連載では、人と地球の両方にやさしい暮らしを探求するサラヤ株式会社と一緒に心地よい日用品の選び方を見つけていきます。

今日、あなたは何回手を洗ったでしょうか?トイレのあと、帰宅したとき、料理をする前……自分が意識しているよりもずっと多いかもしれません。

今回、わたしたちの手洗いが“子どもたちの命を守る社会貢献になる”というサラヤさんの取り組みについて、広報担当の廣岡竜也さんにお話を伺いました。

手洗いの文化を浸透させてきたサラヤ

日本に暮らすわたしたちは、幼い頃から家や学校で手を洗うことを教わってきました。そしてコロナ禍を経て、さらに生活に浸透した手洗い。しかし、70年前の日本では、まだ石けんによる手洗いの習慣が根付いていませんでした。

戦後1950年頃、赤痢(せきり)などの感染症が流行して社会問題になっていました。そこで、“命を守る手洗い”を広めるべく、日本初の薬用石けん液を開発し、標語と共に手洗い文化を日本に普及させたのが、1952年に創業したサラヤなんです。

(学校などでよく見かける、みどりの石けん「シャボネット」はサラヤの商品)

やがて、学校や職場で手洗いが広がり、上下水道の整備も進んだことで感染症は減少。日本はとても清潔になりました。

ウガンダで始まった「手洗いプロジェクト」

ところが世界に目を向けると、手洗いの習慣がないことで、感染症が広がり、たくさんの人が亡くなっている地域がまだまだ存在します。サラヤが注目したのは、アフリカ。2010年、ユニセフ(国連児童基金)と共に東アフリカに位置するウガンダ共和国(以下ウガンダ)で「100万人の手洗いプロジェクト」をスタートさせました。

当時、ウガンダでは100人中約13人の子どもが、5歳になる前に亡くなっていました。要因の多くは、下痢や風邪の悪化。そのほとんどは手洗いをすることで予防でき、手洗いが普及すれば100万人以上の子どもたちの命が救われると言われていました。

ウガンダは、アフリカの中でも政治が安定し、国内の衛生環境の改善を目指している国でした。そこで、まずはウガンダで手洗いを広め、衛生環境を改善する。そして次はビジネスとしてアフリカ全体へ広げていくことを考えました。サラヤでは「社会課題をビジネスで解決する」という姿勢から“一時的な施しではなく、持続可能な取り組み”のための活動をつづけています。

(ウォシュボンやシャボネットなど、店頭でよく見かける商品がプロジェクトを支えている)

サラヤは、対象となる衛生商品の売上1%をユニセフに寄付。得られたお金は、ウガンダでの手洗い設備の建設や、現地の人々への啓発などに使われています。

2012年からは「病院で手の消毒100%プロジェクト」もスタート。現地に工場を建て、ウガンダ産の消毒液づくりに成功しました。それまで輸入品の高価な消毒液しかなかったウガンダですが、自国で原料を調達し消毒液を作ることで安価で提供できるようになり、病院へ普及しました。工場が稼働することで、現地の雇用や産業の支援に貢献しています。

(消毒液が普及した病院。スタッフは「消毒する」ことを「サラヤする」と言う)

偽善でおわらない。社会貢献とビジネスは両立できる

一般的に、社会貢献というと、お金や物品を寄付するイメージがあるかもしれません。しかし単なる寄付では、支援の継続が難しかったり、現地の生活に根付かなかったりすることも多いといわれています。

営利企業であるサラヤが社会貢献をつづけるためには、「持続可能である」ということが大切になります。物を寄付するだけでなく、手洗いを“文化”として広げることができれば、現地で石けんなどの衛生用品が必要になり、サラヤはビジネスとしても関与できます。手洗い文化を広めるためにも「手洗いが命を守るために重要である」と伝えつづけることがなにより大切なんです。

水が貴重なウガンダ。手洗いの大切さを実感してもらうには、地道な普及活動が求められます。サラヤの現地スタッフは、地域の手洗いアンバサダーを育て、一緒に手洗いや手の消毒を広めてきました。

(学校には衛生クラブが発足。子どもたちや先生と一緒に、手洗いを広めてきた)

ふたつのプロジェクトが始動して10年以上が経ち、手洗い普及率は向上。手の消毒も広まり、病院では院内感染が大幅に減ったとの報告があります。少しずつ、着実に、ウガンダに変化が起きています。

(地道な普及活動が実を結び、手洗いの習慣は確実に広まっている)

わたしたちの日々の買い物が、ウガンダの未来を変えていく

プロジェクトがスタートしてから、順調にウガンダのプロジェクトは進んでいます。実はその背景には、サラヤの活動に共感する日本の消費者の存在がありました。

サラヤはウガンダをパートナーだと思っています。彼らは同じ地球に暮らす仲間で、隣人を助けるのは当たり前。そんなサラヤの想いに共感した個人の方や病院などが、サラヤの商品を指名買いしてくれたり、活動を広めたりしてくれているんです。

(サラヤはCMを流すなど広告にお金をかけていない。消費者の共感が、支援の循環を生んでいる)

多くの人は、「ウガンダで困っている人がいる」と聞いても「自分にできることがわからない……」と感じてきたのではないでしょうか。大それた活動や寄付ではなくても、石けんで手を洗うたび、アルコール消毒剤で消毒するたびに、子どもたちの命を救うことができる。サラヤの活動は、普段の何気ない買い物のなかに“社会貢献”という選択肢を生みました。

今日の買い物が、ウガンダの子どもたちの笑顔につながっていく。スーパーやドラッグストアで手洗い石けんを選ぶ時、ぜひサラヤの商品を探してみてくださいね。

ライター/やまくぼ  編集/あんどうまりこ

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いのちをつなぐSARAYA

いのちをつなぐSARAYA

「衛生」「環境」「健康」を事業の柱とする日本の衛生用品・日用品メーカー。
ヤシノミ洗剤やarau.、ハッピーエレファント、アロマライフなど、人と地球に優しいブランドを多数展開している。