2021/10/05
お米もぬかも、とぎ汁までも愛し抜く。食卓で発酵する水キムチ【畑の魅力伝道師 やなぎさわ まどか】
※畑のそばの、豊かな暮らし発掘メディア「ハタケト」は、2022年9月1日より愛食メディア「aiyueyo」にリニューアルしました。
皆さん、こんにちは。ハタケトで編集を担当しています、やなぎさわまどかです。秋は野菜や果物が一段とおいしい季節ですね。先日は常温で発酵させる塩麹についてご紹介しましたが、残り野菜や果物を簡単な仕込みで発酵させて、キムチとして楽しむことも好きです。手軽でおいしくて便利。乳酸菌たっぷりでお気に入りの「水キムチ」をご紹介させてください。
水キムチの魅力
酸味があって、つけ汁は半透明。水キムチとは、言わば「辛くないキムチ」です。重しや、漬物用の特別な容器なども使わず、手軽に仕込めて翌日には食べられるというハードルの低さ、でも乳酸菌は赤いキムチの20倍もあるんだとか。ぬか漬けがうまく続けられないとか、赤いキムチを自作する自信はない、という方にはぴったりの乳酸発酵食品だと言えそうです。
手軽に楽しめるポイントのひとつは、お米のとぎ汁を使うこと。正式な韓国の仕込みでは餅米粉を使うそうですが、家庭用に簡略化されたとぎ汁方法も、おいしくて失敗なく、何よりも本当に手軽です。
もう一つのポイントは、食べきれるサイズで仕込めることです。冷蔵保存でじわじわと発酵を進めつつ、一週間〜10日くらいで食べきれる量だと、作りやすいし食べきりやすいと思います。
お米、精米、とぎ汁のループ
お米の「とぎ汁」は、水キムチに限らず色々便利に使っています。水キムチの話からはちょっと逸れますが、新米の時期でもあるので、我が家のお米やとぎ汁の活用についても少しだけ。
我が家では、お米は玄米の状態で保存しています。その日の気分で、しっかりした玄米が食べたかったり、ツヤツヤの白米を求めたり、どっちも食べたいので五分づき米にしようなど、お米を愛しまくる食いしん坊としてのワガママが叶うからです(笑)
家庭用の精米機で精米して出た「ぬか」も色々使えます。ぬか床に足すのはもちろん、炒ってふりかけを作ったり、目の細かいさらしに包んで入浴剤にしたり、油よごれや水垢を落とす掃除に使ったり、あと、角質を落とすスクラブにも。商品化されてる米ぬか化粧品やワックスもあるくらいなので、自宅精米で少しずつぬかが取れるのはむしろ便利だと言えるかもしれません。とはいえもちろん、そんなの全て面倒くさーいという時は全部コンポストに入れるのもよしとしています。
そして「とぎ汁」も、米ぬかと同様に色々使えます。最初の水はホコリなどもあるので流しますが、2〜3回目のとぎ汁はぬかが濃く、捨ててしまうのは正直もったいない、とさえ思うようになりました。
とぎ汁も油や水垢などの汚れに強いので、料理をする際ボウルに入れておいて、料理中に手が汚れた時の手洗い水にしています。食後はそのボウルに、油物が多い日は食べ終わった食器をつけ置きしたり、最後にシンク掃除にして使い切ると、気持ち的にもなんだかさっぱり。乾燥が気になる季節は、洗顔や手脚などにお風呂で使うこともあります。
ただこれもまた、「ぜったいこう使わねば」と決めないようにしていて、自分の状況とバランスを取りながら、そのとき使える量を必要な方法で活かす。掃除も何もする余裕がなければ、ぜんぶ草木の水やりに使ったって快適です。
脱線が少し長くなりましたので、最後に我が家の水キムチの作り方をご紹介しますね。今度お米を炊く時にでもぜひお試しください。
とぎ汁を活かす水キムチの作り方
<用意するもの>
・保存容器(作りやすい量がおすすめ。私はだいたい400〜600ml容器を使ってます)
・野菜 (キュウリやナス、カブ、白菜など漬物にしやすい野菜を数種類。容器に合わせた量)
・しょうが 薄切りで2〜3スライス程(香味野菜で風味が増します。味を強くしたい時は唐辛子やにんにく等でも)
・果物(発酵に使う糖分になります。量の目安はリンゴなら1/8位、柿や梨なら1/4位)
・塩 (漬ける野菜の総量の2〜3%)
・米のとぎ汁 300〜400ml
<作り方>
1. 鍋にとぎ汁を入れて煮沸のためひと煮立ちさせ(沸騰させない)冷ましておく。
2. 野菜、しょうが、果物を切る。3〜5mmスライスなど食べやすいサイズに。
3. 冷めたとぎ汁、切った材料、塩を全て軽く混ぜ合わせて保存容器に入れて蓋をする。
夏場なら半日、冬でも1日ほど常温に置いておきます。味見をしてスープに酸味が感じられたら完成です。冷蔵保存にすると発酵速度もゆるやかにできます。
水キムチは塩分が控えめなので、軽くて爽やか。クセもないので食事中の箸休めにするもよし、もしくは調理に使うもよし、サンドイッチの具材にするのもおいしいです。
うっかり忘れられがちですが、水キムチは野菜だけでなく「漬け汁」にこそ栄養があるので、ぜひ捨てずに丸ごと楽しんでくださいね。漬け汁は韓国の冷麺に使われたりしますが、春雨やそうめんでも合います。私はよくお昼に、麺を用意したお皿に漬け汁ごと掛け入れて、醤油かナンプラー、ごま油を掛け回して食べるのが好きで、我ながらすごいファストなフードだなぁと思ったりするけどお勧めです。もうすぐ白菜がおいしい季節になったら、漬け汁ごとお鍋にしたくて、今から楽しみにしています。
ライター/やなぎさわまどか