2023/05/26
“生きる”を他者に委ねない。五感でたぐりよせる、心地よい暮らし
「サラヤと愛ある暮らし」連載では、人と地球の両方にやさしい暮らしを探求するサラヤ株式会社と一緒に心地よい日用品の選び方を見つけていきます。
今回ご紹介するのは、自然豊かな神奈川県湯河原・真鶴エリアに暮らすかすみさん。海まで歩いて5分のご自宅の窓からは、キラキラと輝く水平線が見渡せます。旦那さんと2歳の娘さんと3人暮らし。近隣のカフェで働きながら、オンラインでイラストやデザインの仕事をしたり、地域でワークショップを開いたりとアクティブに活動しています。
「最近、表情が明るくなったねってみんなから言われるんです」と笑顔で語るかすみさん。実はこの2年間、さまざまな悩みや葛藤を抱えてきたそう。今まさに、子育てと“自分らしい”働き方を楽しんでいるかすみさんに、日々大切にしている考えを伺いました。
何をやってもうまくいかず、心がぎゅうぎゅうになっていった
── これまで、どんなお仕事をされてきたのでしょうか。
かすみさん:昔から子どもと関わるのが好きで、保育士をしていました。東京の保育園で働いていたのですが、結婚を機に退職し、夫の住んでいる真鶴に引っ越したんです。夫は転勤のある会社に勤めていて「転勤のたびに仕事を変えるのは大変だな」と感じ、オンラインのスキルを身に着けたいと思うようになりました。
── 結婚して、保育以外の仕事も考えるようになったんですね。
かすみさん:真鶴に引越後しばらくして、妊娠がわかりました。子育ても仕事も大切にしていきたい。「保育の仕事に戻るのか」「オンラインの仕事に挑戦してみるのか」、子どもに「おかえり」と言えるような働き方にも惹かれ、わたしはどんな暮らしや働き方をしたいのだろうと悩むようになりましたね。
── その後、どんな行動をとったのでしょう。
かすみさん:妊娠中に、思い切ってオンラインスクールに入会しました。Webデザインやライティングなど多様なスキルを学べるスクールでしたが、どれも中途半端になってしまって……。結局なにも形にできないまま退会してしまったんです。
出産してからは、自主保育を行う“子育て広場”を立ち上げました。地域のお子さんを預かり、自然の中で活動を楽しんでいたのですが、だんだんプレッシャーを感じるようになってしまって。「お金をいただく以上、目に見える成果を出さなければいけないのでは?」と保育を心から楽しめなくなり、1年半程で子育て広場を閉じてしまいました。
── 新しいことに挑戦するものの、なかなか仕事には結びつかなかったんですね。
かすみさん:「自分には何もできない……」と落ち込みました。娘が2歳になる頃、“理想の暮らしや働き方”について改めて考えようと、ナエドコというオンラインのコーチングプログラムに参加したんです。その後、ナエドコの卒業生で構成されるチームaiyueyoという活動体に加わり、イラストやデザインの仕事をするチャンスに恵まれました。
aiyueyoは、多様な働き方を認めあう温かいチームです。大好きな仲間に囲まれ、理想の環境にいるはずなのに、オンライン上でうまく立ち振る舞えない自分を卑下するようになってしまって……。自分をさらけ出せず、気づけば心がぎゅうぎゅうになっていました。
自分の手で触って、心地よさを確認する
かすみさん:転機は3ヵ月前に訪れました。それは、チームaiyueyoのメンバーとしてマルシェに参加したこと。マルシェではaiyueyo giftというカタログギフトを手に持って、メンバーと一緒に店頭に立ちました。それまでパソコンの画面上で顔を見るだけだった仲間たちと、実際に会って話せたのが楽しくて嬉しくて!そのとき、初めて「自分も仲間なんだ」と思えたんです。
かすみさん:思い返せば、わたしは昔から“手で触って感じること”を大切にしてきました。食器を買うときも、自分の手に取って「心地いいな」と思うものを家に連れて帰ったり、出会った方の温度やエネルギーを感じたりするのが好きでした。
── 確かに、オンラインだと温度感はなかなか伝わらないですよね。
かすみさん:子どもとの関わりが好きなのも、大人といるときにはない感覚を味わえるからかもしれません。喜怒哀楽でもみくちゃになったり、ただ寝そべって「気持ちいいね」って一緒に味わえたりするときに、心が洗われるんです。きっと、わたしは手で触って温度を感じ、初めて心地よいと実感できるのかもしれないですね。
”生きる”を自分事にして楽しみたい
── かすみさんにとって、実際に自分で感じ取ることがとても大切なんですね。
かすみさん:わたしは暮らしの中でも“手触り”を大切にしたくて、料理や食器洗いなどは娘と一緒に楽しんでいます。娘がハイハイをするようになってからも、キッチンゲートはつけず、自由に散策できるようにしていて。キッチンの下段には、紙コップなどを置いて娘が遊べるようにしているし、娘が「料理をやってみたい」と言ったら一緒に楽しんでいます。
── わぁ、楽しそうです!キッチンは危ないからと遠ざけてしまうのではなく、一緒に過ごせるよう工夫しているのが素敵ですね。
かすみさん:娘にとって“生きる”が自分事になったらいいなと思っているんです。なんでも他者がやってくれるものだとは思ってほしくなくて。一緒にやるなかで、お水をこぼしたり失敗したりすることもあるけど、「次はこうすればいいんだね」って一緒に考えることを大切にしています。昔から愛用しているサラヤさんのヤシノミ洗剤は、子どもと食器を洗うときも安心して使えるので嬉しいですね。手肌にやさしいですし、泡切れも良いので、うまく洗えなくても大丈夫そうだなって思えます。
掃除は苦手なので大体は夫がやってくれています(笑)あるとき、サラヤさんの商品は人にも環境にもやさしいと知り、お風呂とトイレのクリーナーをハッピーエレファントに替えました。それまで使っていたクリーナーは匂いがキツく、「うっ」となるので息を止めて掃除していたのですが、ハッピーエレファントは天然アロマで香りが良く、わたしも夫も気持ちよく掃除ができるようになりましたね。
同じものはひとつもない。だからこそ自分らしさを大切にしていく
── 自分の感覚を大切にすることで、暮らしも豊かになっていくのかもしれませんね。
かすみさん:そうですね。“生きる”を自分事に、というのは仕事でも大切にしています。他者からの指示をこなすだけだと楽しめないので、自分ならではの関わり方を見つけたいんです。カフェの仕事では、スタッフを誘っておすすめのお店で飲み会を開くなど、この土地を好きになってもらい、繋がりを深められるよう、人や地域と触れ合うのが好きなわたしだからこその関わり方で楽しんでいます。
── いつも“自分らしくある”を意識できるところが素敵ですね。
かすみさん:実は、初めて勤めた保育園は、子どもたちが同じ行動をするよう統率する園だったんです。でも、わたしは違和感を感じてしまって……。職場を変え、次に勤めたのは“子どもたちがどう育ちたいかを見守る”という方針の保育園。思い思いにキラキラした笑顔で遊ぶ子どもたちを見たときに「みんな一人ひとり違うんだ。そうだよね」と嬉しくなって。同じものはひとつもない。唯一無二の個性が、面白さと心地よさを感じさせてくれるのだと気付いたんです。
かすみさん:今は自分が心惹かれるものにたくさん触れて、自分を満たしていきたい。そして、いつかデザインの仕事が軌道にのったら、地域の子どもや大人が気軽に遊びに来れる、村のような場所を作るのが夢なんです。「自分のやりたいことをやったらいい。生きるって楽しい」と子どもたちに伝えられて、その想いが循環するような場所です。遠回りもするかもしれないけど、行動して手触りを確かめながら、ワクワクする夢を描き続けていきたいですね。
(インタビューはここまで)
今回、真鶴の海辺のカフェでインタビューしました。お話の合間に、お店の方や顔なじみのお客さんとニコニコお話しするかすみさんを見て、わたしもほっこりと幸せな気持ちになりました。オンラインで仕事ができるようになり、便利な世の中になりましたが、五感を使って自分の感覚や感情をもっと大切にしていきたい、と思う帰り道でした。
ライター/やまくぼ 編集/あんどうまりこ