自分のため、あるいは身近にいる大事な存在のため。その人が大切にしている“愛ゆえ”のことをお伺いしていく「教えて、あなたの『愛ゆえよ』」。

「愛ゆえよ」のコンセプトを貫くフードギフトカタログ「aiyueyo gift」をご愛用いただいている素敵なユーザーさんにお話を伺います。世の中の常識や社会のレールに捉われずに行動するみなさんのストーリーを通じて、読者のみなさまにも自分や周りの人を大切にしていただけたら嬉しいです。

 今回お話をお聞きするのは、”人生を祝うプロデューサー”として活動し、「ライフログスクール」を主宰しているオア明奈さん。「ライフログ」とは、過去を振り返ることで自分を知り、人生の指針を見つけていく明奈さんオリジナルのメソッドのこと。

ご自身の結婚式までもセルフプロデュースで創り上げたという明奈さんに、自分の意志で人生をデザインしていくヒントを伺いました。

「これがいやだ」出発点は自分の感じた違和感から

働き方や暮らし方が多様化してきたここ数年。日々、多くの情報や選択肢に囲まれるなか「わたしはどんな人生を送りたいのだろう」と悩む人もいるかもしれません。

自ら理想を描き、自分の人生を力強く歩んできた明奈さんに、まずは人生を大きく変える出来事となったご自身の結婚式について教えていただきます。

明奈さん「2013年に北アイルランド人の男性と婚約しました。結婚式について二人で話し合ったところ、クリスチャンである夫の唯一の望みは、本物の教会で挙式することでした。調べてみると、日本には「教会風」のレプリカの式場はあるのですが、私たちが望む挙式ができる本物の教会はなかなか見つからなかったんです。そこで、思い切って夫の故郷である北アイルランドの教会で結婚式を挙げ、披露宴にあたる結婚パーティーは東京で行うことに決めました」

海外での挙式と日本でのウェディングパーティー、どちらにも明確な理想があったという明奈さん。日本では、パッケージ化された結婚式が当たり前の時代。明奈さんの理想とする、国内外の結婚式をどちらもオーダーメイドで伴走してくれるウェディングプランナーにも出会えず、最終的に明奈さんは自分で結婚式をプロデュースすることを決意します。

明奈さん自分の理想の結婚式が世の中にないなら、自分で創るしかないと思ったんです。北アイルランドでの結婚式は、現地の伝統や文化を重んじたクラシックなウェディングを理想とし、オンラインでやりとりしながら教会探し、ヘアメイクの手配、お花やお料理など全て自分たちで準備を進めました。最終的に夫の家族が住む街にある、360年の歴史をもつ教会で挙式することができたんです。わたしの家族を連れて夫の故郷で過ごすこともできて、良い思い出にもなりましたね。東京でのパーティーは、パッケージ化された披露宴や会場装飾が当たり前とされるなか、「これはいる」「これはいらない」と、一つ一つ交渉をしていくのが大変でした」

明奈さんは「こんなパーティーにしたい!」というビジュアルイメージをご自身で企画書に落とし込み、都内のさまざまな会場を回ったと言います。

明奈さん「せっかくやるなら絶対に妥協したくないと思っていましたね。なんとか私たちのわがままを聞いていただける理解ある会場の方々に巡り合い、会場の装飾や当日のコンテンツなど、全て自分たちで持ち込んだ企画を一緒に実現していただきました。例えば、ゲストとの距離を作らず自然と会話ができるように、高砂のテーブルをなくしてソファーを置きました。他にもお花やお料理、当日流す音楽まで、決められた選択肢から「選ぶ」のが当たり前だった結婚式を自分たちで「創る」結婚式へ。理想を追及し、妥協せずこだわって創った結婚式は、ゲストにも楽しんでもらえましたし、当時ウェディング雑誌の特集にも多く取り上げていただけて、嬉しかったです」

(明奈さんのご自宅は柔らかい光りと心地よい空気で満ちていました。壁は自分たちで色を塗り、明奈さんがセレクトするインテリアは、ご友人が携わっているものやストーリーに共感したものなど、つながりを大切に選ぶことが多いのだそう)

パーティーの細部にまでとことん想いを込めた明奈さん。なぜ、そこまで明確に理想を描くことができたのでしょうか。

明奈さん「実は「こうしたい」が最初からあったわけではなくて、ただ「これはいやだな」というのが明確にあったんです。例えば先ほどお話した、「ゲストとの距離を感じる高砂はいやだなぁ」とか。まずはそういった「これがいやだ」を洗い出して、その中でどうやったらベストなパーティーになるのかを想像していくようにした気がします」

高校生の時から好きだった「ファッション雑誌」も結婚パーティーづくりのヒントになったんだとか。

明奈さん「学生時代から雑誌を読むのが大好きでした。ギャル、コンサバ、ストリート系など、とにかく色んなジャンルの雑誌を読み漁って、ありとあらゆるスタイルの服装を経験しましたね(笑)。そうしているうちに、自分が好きで似合うビジュアルを掴んでいったんです。結婚式を考える時も、雑誌を切り抜いてコラージュを作ったり、好きな画像をインターネットで集めたりして、理想のイメージを描くことから始めていました」

「やるからには、自分の選択を納得できるものにしたい」そう語る明奈さんは、自分の感性を活かしながら理想を形にしたのです。

なんとなくではなく、意図的に選択する

結婚式をセルフプロデュースしたことが、明奈さんに転機をもたらします。

明奈さん「当時、夫から『そんなに楽しいなら、ウェディングを仕事にしたら?』言われるほどに、わたしは結婚式の準備に夢中でした。そして、思い切って29歳で、オーダーメイドウェディングを行うCRAZY WEDDINGに転職することに決めたんです」

新卒から7年間勤めた会社を退職し、ウェディング業界に飛び込んだ明奈さんは、一緒に働くプロデューサーやアートディレクターたちについていくために必死で勉強します。

明奈さん「未経験でウェディングの仕事に就いたわたしが日々意識して行っていたのは、“センスを磨くための自己投資”。休みの日には話題のイベントや美術館を見てまわったり、身の丈以上のホテルやお店で食事をしたりもしましたね。定期的にインプットを兼ねて海外を旅することもしました。当時はベンチャーへの転職だったこともあり、正直お給料は前職の半分くらいに減って、お金に余裕があるわけではなかったんですが、でも「とにかく今は、色んな世界に触れることが、自分のクリエイティブのために必要だ!」と思って行動していましたね」

明奈さんは、なんとなくお金や時間を「消費」するのではなく、意図を持つことが大切だと言います。

明奈さん「ものを買う、旅に出る、美術館に行く、それを消費だと思うとただの浪費になってしまうと思うんです。でも、今後の自分にどう活かされるか、という視点を持つことで「消費」は未来への「投資」に変わると思っています。たとえば旅に出る時も「なんとなく癒されたい」という理由ではなく「旅で価値観をアップデートして、今後の仕事や人生に活かそう」と意味付けていました。日々、自分のなかで「消費」している感覚は三割くらいでしょうか。なんとなくではなくて意図的に選択することで、それが自分への投資になり、未来を創ることに繋がっていくと思っていますね」

「自分の心」で感じることが、人生をデザインするためのはじめの一歩

(CRAZY WEDDINGでは、数々の結婚式をプロデュース。町おこしの一環になるような結婚式、宇宙をテーマにした結婚式など、新しい形の結婚式をいくつも世に生み出しました。お写真は、北アイルランドでの明奈さんの結婚式の様子)

転職して5年後の2020年、明奈さんはCRAZY WEDDINGを退職。34歳で独立し、過去の出来事と感情を棚卸しして、人生をデザインする「ライフログスクール」を始めます。

明奈さん「ライフログでは、自分の感情に目を向けます。わたし自身、これまで「心で感じること」を大切にして生きてきたんですよね。昔から他人の気持ちや変化に敏感で、会社や友人といても「あの人、きっと今、本音で話せてないな」とすぐに気付くタイプでした。同時に自分の心にも敏感なので、感情のアップダウンが激しいですね。ネガティブな気持ちを引きずることもありますが、何も感じなくなることの方がよっぽど怖いことだと思っています」

そう話す明奈さんは、一度自分の感情が「無」になったことがあると語りました。

明奈さん「新規事業の立ち上げで一気に役割が変わり、仕事も忙しくなり、責任感からくるプレッシャーに押しつぶされそうになっていました。日々、業務に忙殺されるうちに、大好きな仕事のはずなのに心もカラダも疲れ切ってしまい、気づいたら「あれがいい」も「これがいやだ」も何も感じなくなっていました。……今、思い出しても本当に怖いですね」

ご自身の体調不良、お父様の他界など、人生の転機となる出来事も重なり、明奈さんは三ヶ月のニュージーランドでの休養を経て、フリーランスとして独立。その翌年、自然豊かな海の町、逗子へ移住します。

明奈さん「ふと思い立っての移住でしたが、逗子に来てからは、ありのままでいられる時間が増えた気がします。考えてみると感情にうまく気づけなくなった時、わたしは肩書に囚われて、主語が「わたし」ではなく役割で話すようになっていました。確かに、自分の本音を心にしまって折り合いをつけた方が楽に過ごせるかもしれない。でも、そのまま感情を抑え続けていると、いつしか自分の声が聞こえなくなってしまうんです」

世の中にはさまざま肩書きが存在します。父、母、息子、娘、経営者、新入社員……人はいつの間にか、その役割を優先して考えてしまうのかもしれません。

明奈さん「「人生をデザインする」という言葉を聞くと、多くの人が未来を考えようとすると思います。でも自分の心を抑えたまま「これがしたい」「こうなりたい」と、理想ばかり考えていてもその姿は見えてこなくて、より焦りや不安が募ってしまう。未来を考える前に、今に目を向けて、「自分の心で感じていることをおざなりにしていないか?」と問うことが大切なのではないでしょうか。心をオープンにして、今この瞬間の感情を味わうことで初めて、自分の人生を愛おしいと感じられるようになると思うんです」

明奈さんは今、ライフログを通じて、自分自身の感情を見つめ、意志を持って人生を舵取りすることができる人が増えて欲しいと、伴走しています。

明奈さん「自分の人生を愛し、肯定する人が増えたら、世界が少しずつ温かくなると思っています。人生っていうと大それた言葉に思われがちですが、今日も人生だし、明日も人生。今この瞬間に意味を込めて、目の前の選択を積み重ねていくことが大切だと思うんですよね。一人一人が納得して自分の在り方、生き方を選び取り、今日を生きる。そうすることで、ゆるやかにサステナブルに、世界を変えていけると信じています」

(インタビューはここまで)

わたしたちはつい未来や理想を描いては、これでいいのかな……と不安になってしまいます。そんな時こそ、今に目を向けることが大切なのだと気付かされました。何にいやだと感じ、何に心が動くのか。そして自分は何を選び取っていくのか。いつも心に問い続けようと思います。

INFORMATION

オア明奈(おああきな)

オア明奈(おああきな)

人生を祝うプロデューサー 。ライフログスクール代表オンラインサロンONDO主宰。15年以上習慣にしてきた独自の「振り返り」をメソッド化し、世の中に伝えている。2021年にクラウドファンディングで初めての自著である「人生肯定」を出版。海の町、神奈川県の逗子市在住。

明奈さんが手に取って下さった「aiyueyo gift」は、14人の農家さんの愛が詰まったフードカタログギフトです。それぞれの農家さんたちの想いや商品にまつわるストーリーをお届けします。ご利用いただいた感想を伺いました。

「出産祝いとして「aiyueyo gift」を友人に贈りました。『スタイとお菓子がセットになった商品を選んだよ』と連絡があり、赤ちゃんだけでなく、お母さん自身にも楽しんでもらえたので嬉しかったです。生産者の顔が見えるのも良いですよね」

今回、明奈さんのご友人が選んでくださった商品は「子育てする方が本当に求めているもの」をテーマに作られた「野菜とお米のクッキーと手作りスタイのセット」です。クッキーは旬のお野菜を使用していて甘さは控えめ。小さなお子さんから大人まで、安心して食べられます。

それぞれのストーリーで選ぶことができるカタログギフト「aiyueyo gift」。ご友人やご家族への贈りものはもちろん、ご自身のご自愛のためにも、ぜひご利用ください。

ライター/やまくぼ  編集/ウィルソン麻菜  撮影者/藤井陽平

フードギフトに、愛をこめて aiyueyo giftフードギフトに、愛をこめて aiyueyo gift