2024/03/16

売買で世の中が良くなる?aiyueyo循環商店街で学ぶお商売のこと

aiyueyoでは「愛食を起点に、自分らしい持続可能なくらしと仕事をはぐくむ」ことをミッションに活動しています。そんなaiyueyoで、お商売の実験の場として用意されているのがaiyueyo循環商店街(以下循環商店街)です。

今、循環商店街はチームaiyueyo内で大きく盛り上がりを見せています。そこで今回は、循環商店街盛り上げ隊の児嶋佑香(こじこじ)が、仕掛け人のゆっちさんことよこいゆかさんに、循環商店街について根掘り葉掘り聞いてみることにしました!

自分らしさを活かしたお商売の実験の場・循環商店街

こじこじ:さっそくですが、循環商店街とは何かを教えてください

ゆっち:循環商店街とはコミュニティ・チームaiyueyo内で行っているお商売の実験の場のことです。お金の代わりにコミュニティ内通貨「愛」を使って、商品の売買をしています。

現在、循環商店街には80名近い人が登録していて、個性豊かなお店を出しています。たとえば「事業計画書の壁打ちします」や「地域の特産品を送ります」など。メンバーそれぞれが自分の知見を人にシェアしたり、好きなものを販売したりして楽しんでいます。

いきなり世の中にサービスを出すのは大変です。でも安心安全なコミュニティの中でなら、自分のやってみたいことを始めやすいと思います。やってみて良かったら続ければいいし、ちょっと違うなあと思ったら別のお店を出してみたらいいと思います。

aiyueyoはほかの会社のように雇用関係があるわけではなく、みんながやりたいことを企てられる自律分散型の組織です。aiyueyo循環商店街はその象徴だと思いますね。

こじこじ:「この仕事を与えられたからやる」というのではなく、「これやってみたい。自分でお店を出してみよう!」と気軽にやりたいことをできるのがいいですよね。

ゆっち:はい。aiyueyoではみんなが自分の人生の経営者(自分ファーマーちゃん)になることを目標にしています。

そのための第一歩として、自分らしい暮らし方や働き方を考える「ナエドコ」というプログラムを実施しています。チームaiyueyoは全員ナエドコの卒業生。ナエドコで描いた理想の暮らしや働き方を実現するためのステップとして、ぜひ循環商店街を使ってみてほしいです。実際に循環商店街で練習して自信をつけ、aiyueyoの外で自分のナリワイにしている人も多くいます。

ちなみにaiyueyoでは、ナリワイを生み出すお手伝いをする「ナリワイ助産院」というプログラムも実施しています。具体的に動き出したくなったらナリワイ助産院に参加してみるのもおすすめです。

こじこじ:自分らしい生き方や働き方を考えるところから、ナリワイを生み出すところまでを一貫してできるaiyueyoすごいですね!

ゆっち:aiyueyoにそういう環境はありますが、使うか使わないかは本人次第です。でも循環商店街を使うことによって、お商売とは何かを体感できるのではないかと思います。お商売をすると、人と知り合え、コミュニケーションが生まれ、ファンになってもらえることもあります。お商売をすることで人と良い関係を築くことができるんですよね。

みんなの「やりたい」を形にしたい!

こじこじ:そもそもなぜゆっちさんは循環商店街を作ったんですか?

ゆっち:ナエドコでみんなのやりたいことをたくさん聞くので、最初はマルシェとかをできたらいいんじゃないかと思っていたんです。でもナエドコの参加者は全国にいるので、全員が集まってマルシェを開催するのは大変です。よく考えてみたらオンラインでもできることに気づいて仕組みを整えたんです!

現在のお店の数は約110店舗。Notionでお店一覧を作り、Slackで注文のやりとり、スプレッドシートで愛の収支を管理している。

オフラインのマルシェも開催するんですけどね。

循環商店街はお商売とは何かを体感できる場所

こじこじ:循環商店街を運営していて、ゆっちさんが印象に残っていることを教えてください

ゆっち:1つめは循環商店街がその人のポートフォリオになっていることです。お店を出すことは、その人がやりたいことやできることをみんなに伝えることにもなります。そうすると人手が必要なときに「○○といえばあの人だよね」と認識してもらえて、自分のやりたいことで人の役に立つことができるんです。

2つめは循環商店街に参加することで「お商売とは何か」「お金とは何か」を体感できることです。お商売ってお金のやりとりだけが移動しているように見えるかもしれませんが、実はお金だけではない価値が生まれているんです。たとえばお商売をきっかけに売る人と買う人が仲良くなったり、信頼感が生まれたり……。買ってもらった人も売ってもらった人もありがとうと思えるんです!そういうお商売の本質を感じられるのが循環商店街の良いところだと思います。

こじこじ:ビジネスって人にお金を使わせるために煽るような文章を書いたり、買う方はそれに対してお金を使わないように身構えたりするところがあると思います。そうすると心がすり減ってしまうように感じますが、ゆっちさんのお話を聞いていると、お商売って本当はもっと愛に溢れているものなんだと思えてきました。

ゆっち:お商売ってお金に新たな価値を生み出すものなんです。AさんがBさんに価値をお届けして、BさんがAさんにお金を払い「ありがとう」が生まれる。そしてまた次の人とのやりとりが生まれます。お金は循環していくものなので、良い循環にさえのせれば、お金を使えば使うほど世の中は良くなっていくはずなんですよね。

循環商店街を使うことで、aiyueyoが大事にしている「半径5mからごきげんの輪を広げる」とはどういうことなのかも体感できると思います。

(まずは自分を満たし、らしさを発揮できる状態になると、次は自分の半径5mの人たちにお役立ちができる。
それが積み重なれば世界平和にも繋がるというaiyueyoの考え方を表した図)

こじこじ:循環商店街にはいろんな可能性があるんですね。そんな循環商店街のおすすめの使い方を教えてください

ゆっち:まずは買うことです!私たちは普段稼ぐことばかりを考えている気がします。でもお金って良い使い方ができる人のところにやってくると思うんです。だから稼ぎ方がわからない人は、まず良いお客さんになるところから始めてほしいです。良いお客さんというのは、買ってよかったものをみんなに良かったとお知らせしたり、アンケートに答えたりするお客さんのことです。良いお客さんになることは、良い出店者に匹敵するくらい価値のあることだと思いますね。

売り手として良い仕事をすることも大事です!お金の価値は今後どうなっていくかわかりませんが、お商売で生まれる関係性は大きな価値になります。良い仕事をするとそのやりとりが終わった後も、信頼してもらえます。良いものを買ったり売ったりしたときって、エネルギーも上がる感じがありますよね。そういう感覚を循環商店街で掴んでもらえたら嬉しいです。

こじこじ:循環商店街でのやりとりって、お金のやり取りをするより気楽な気がします。お金と一緒で、使えば減ってしまうのに、気軽に使えるのはどうしてなんでしょう?

ゆっち:おもしろい問いですね。お金はいろんなことができる強いものだから、思い込みが生まれるんだと思います。たとえば「お金とは苦労して稼ぐものだ」とか「貯めておかなければならない」とか。お金には育ってきた環境が反映されやすいんですよね。一方でaiyueyoの独自通貨「愛」は、新しいものなので思い込みがありません。だから新しい感覚で使うことも稼ぐことも楽しめるんだと思います。

でもいつか「お金も愛と一緒じゃん!」って気づくんですよ!そこからお金に対する思い込みも外れていくと思いますね。

循環商店街は、お金やビジネスのことを教える数十万円の講座と同じくらい価値のあるものだと思います。それも実践形式で無料で!すごい価値だと思います!ぜひおもいっきり使ってほしいです!

こじこじ:循環商店街に参加するだけでもaiyueyoに入る価値がありそうですね。

ゆっち:そうですね。aiyueyoの目標は自分ファーマーちゃんを増やすことなので、その実験の場として使ってくれたら嬉しいです。

こじこじ:この記事を読んだ人が循環商店街をどんどん使ってくれると嬉しいですね!最後に、これから循環商店街を使おうとしている人にメッセージをお願いします

ゆっち:循環商店街の価値は使ってみないとわからないと思うので、まずは良い買い手になることから始めてみてほしいです。5回くらいやりとりしてみると、循環商店街のおもしろさに気づくと思いますよ。

こじこじ:循環商店街の使い方がわからない人に使い方を教える「手取り足取り屋さん」というお店もありますよね。

ゆっち:はい。手取り足取り屋さんを利用するということは、チームaiyueyo内の誰かと出会い、関係を深めることです。その出会いにお金(愛)を投じることも素敵なことだとわかるはずなので、ぜひ体感してみてほしいです。

(インタビューはここまで)

(循環商店街のメンバーに愛を払ってお願いした、グラフィックレコーディング)

ゆっちさんにインタビューしたことで、「お金とは何か」「お商売とはどんなものなのか」をあらためて考えることができました。「お金を使うのは怖いけれど、循環商店街で愛を使うのは楽しい」そんな私も循環商店街で実験しているうちに、もっと心地よくお金のやりとりができるようになるのかもしれません。ぜひみなさんも、循環商店街でたくさん実験し、自分らしいお商売のタネを見つけてほしいです。

ライター/児嶋佑香