2024/12/27
「誰かのためではなく、自分のためにやってみたい」日常の中にある”小さな幸せ”を、わたしなりの方法で伝えていく。
「サラヤと愛ある暮らし」連載では、人と地球の両方にやさしい暮らしを探求するサラヤ株式会社と一緒に心地よい日用品の選び方を見つけていきます。
今回ご紹介するのは、富山県在住のともよさん。1歳の男の子を育てる傍ら、aiyueyoなどでライティングの仕事をしています。
ともよさんは5年前、長女を4歳で亡くしました。娘さんとの暮らしをきっかけに”小さな幸せ”に目を向けるようになったというともよさんに、大切にしている想いをお聞きしました。
長女の病気がきっかけで正社員を辞め、子育てに専念
──ともよさんのこれまでのご経歴を教えてください。
ともよさん:小さな頃から自然が好きで、大学ではバイオテクノロジーを学んでいました。卒業してからは農作物の病気を診断する簡易キットを作る会社に入り、製品開発に携わりました。
入社7年目の時に妊娠がわかりました。出産後も働き続けようと思っていたのですが、生まれた娘は難病を抱えていたため保育園に入れず、会社を辞めなくてはなりませんでした。
──娘さんの病気がわかり、生活が大きく変わったんですね。
ともよさん:もともと共働きを前提に考えていたので「収入が減って生活できるの?」と不安になりました。当時は正社員として収入を得ることが”女性の自立”に繋がると思っていましたし、新卒から続けてきた仕事を辞めることに葛藤もありました。でも、他に選択肢がなかったんです。
退職して娘との暮らしがスタートしました。娘は口から食べることもしゃべることもできず、常に医療を必要とする子どもでした。娘に食べる喜びを感じてほしくて、独学でペースト状の介護食の試作を重ねました。
──初めての育児と介護。たくさん悩んだり戸惑ったりされたのではないでしょうか。
ともよさん:大変なこともたくさんありました。それでも娘は満面の笑みで「生まれてきてよかった」と伝えてくれたんです。わたしはそんな娘から『存在するだけで価値がある』『どんな人にも与えられるものがある』ということを学びました。そして、何気ない日常こそが、満ち足りる豊かさなんだと思うようになったんです。
「理想の自分になれない」罪悪感を抱きながら、それでも少しずつ歩んでいく
──娘さんはその後亡くなったとお聞きしました……。それからaiyueyoに出会うまでの日々について教えてください。
ともよさん:娘の死から数年が経っても「健康に産んであげられなかった」という想いや、収入がないことへの罪悪感があり、自分を責めてしまう日々が続きました。
2023年、長男を出産したタイミングでナエドコの存在を知りました。「誰かを幸せにするためにも、まずは自分をごきげんにする」という考え方に共感し、受講を決意。講義や仲間との対話を通して「自分らしく生きればいいんだ」と思えるようになったところです。
──少しずつ気持ちに変化が起きたんですね。行動面ではどんな変化がありましたか?
ともよさん:日常の中にある”小さな幸せ”を伝えられる人になろうと思うようになりました。そこで、aiyueyoに入ってから「循環商店街」で「竹のスプーン推ためし便」というお店をオープンしました。想いがこもった手作りのスプーンを届けることで、食事をする時に温かい気持ちになってもらえたらと思ったんです。
ともよさん:2024年には思いきって愛食フェスに出店しました。初めて対面で大好きな『工房かまちゃん』の竹のカトラリーを販売。たくさんの方にご購入いただいて、作り手さんを応援できたことがすごく嬉しかったです。
心地よくありたいから、「想い」がこもっているものを使いたい
──普段の買い物でも、作り手の想いを大切にされているのでしょうか。
ともよさん:日用品も、想いを感じ取りながら選んでいます。我が家では食器用洗剤はサラヤさんのものを使っています。使い始めたきっかけは娘の子育てでした。
娘には医療的な処置をしていたので手洗いや消毒の回数が増え、手がひどく荒れてしまったんです。なるべく肌に負担をかけない洗剤を使いたいと思い、ヤシノミ洗剤を手に取りました。今はハッピーエレファント食洗機用ジェルもあわせて使っています。
初めてヤシノミ洗剤を使った時、不思議なことに「あ、優しい」と感じたんです。匂いも強くなくて余計な心配をしなくていい。それでいて洗浄力もしっかりあるんです。
──安心感と洗浄力を兼ね備えていて、とても機能的なんですね。
ともよさん:機能がいいということは、その裏に“想い”を込めて作っている人たちがいるというのを前職のものづくりを通して知っていました。特にサラヤさんが天然洗浄成分「ソホロ」を開発したのは本当にすごいことだと思っています。
ソホロは天然酵母由来のいきものが生み出した成分です。いきものを使った製品開発というのは本当に難しいんです。開発者のみなさんはきっとソホロのことが大好きで、なんとかソホロを使っていい製品を作りたいと思っていたんだろうなって。じゃないと、こんなにすごい製品は作れないですよ。
彼らの想いが機能に表れているから、わたしは安心して使い続けることができるし心地いいんです。
来年は書くことを通して、小さな幸せを伝えていきたい
──今年、愛食フェスへの出店に挑戦されたともよさん。来年はどんなことに取り組んでいきたいですか?
ともよさん:実は愛食フェスが終わった後は燃え尽きてしまい、心に穴が空いてしまったんです。何がやりたいかわからなくなって、3ヶ月間aiyueyoでの活動をお休みしました。
そして休んでいるうちに、今度は誰かの応援ではなく“自分自身”のために何かをやりたいと思うようになったんです。今やりたいのは、昔から住み続けている富山のよさを伝えることではないかと思い、取材ライターとして動き始めたところです。
──自分自身のためにやりたい、というのがとても素敵ですね。最初の一歩をどのように踏み出したのでしょうか。
ともよさん:ちょうど富山市を取材するライター募集を見つけて、地元の飲食店を取材するチャンスを得たんです。取材先に断られたりもしたけれど、心に火がついて違うお店を探し出しました。ハプニングすらすごく楽しくて!取材ライターの仕事をしてる時の自分は、今までで一番楽しかった時の自分と同じだなって気付いたんです。
変化が激しい世の中、わたしは”すでにある素晴らしいもの”を届けていこうと思います。存在していることは素晴らしいこと、という気付きは娘からのギフトです。日常の幸せを伝えられるライターになるために、長男の子育てを楽しみつつ、来年は言葉にたくさん触れる一年にしようと思っています。
(インタビューはここまで)
ともよさんのお話を伺ったあと、じんわりと温かいエネルギーが湧いてきました。わたしも、ともよさんと同じく30代後半で子を持つ母。家族、暮らしを大事にしながら、自分のやりたいことにも挑戦しようと思っているところでした。日用品選びも、自分の道も、想いを感じ取りながら丁寧に向き合っていこうと思いました。
ライター/やまくぼ 編集/あんどうまりこ
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