2020/11/21
「許容」が生み出すハタケトの文化。編集部座談会より
「畑の周りにいる人はなんだか豊かそうだ」という気づきから始まり、その正体を探求すべくメディア活動をしてきたハタケト。皆様のおかげで先日1周年を迎えました。いつもご愛読ありがとうございます。
実はハタケト編集部の多くのメンバーは東京で暮らし、畑のそばにいるわけではありません。そんなわたしたちハタケト編集部は、「畑のそばにいる幸せな人々」とこの一年間関わらせていただき、どんな気づきを得て学んだのか。
編集長あべ・ディレクターしもだ・SNS担当こが・分析担当おおの・ライターかわしま・わだ。今回は様々な立場でハタケトに関わっている編集部6人で考えた、ハタケトの根底にあるスピリットについてお伝えできればと思います。
それぞれ食や農への思いを馳せる、ハタケト編集部
編集長あべ:ハタケトメンバーはそれぞれ食や農業に興味を持っていますよね。みなさんの興味のきっかけはなんだったのでしょう。
SNS担当こが:わたしはもともと教員をしていたのですが、その時代に、どの子も目を輝かしているのが調理実習だったんです。自分で作って自分で食べる子どもたちの顔がすごく良いなって。今は仕事をやめて子育て中ですが「子ども×畑」を繋げることがわたしの夢です!
分析担当おおの:高校生で進路を考える時に、これから若い人が必要になってくると感じたのが農業だったんです。農学部に進学し、現場に行ってみようと農家さんの元に通った結果、哲学や暖かな人柄に惚れ込みました。
ライターかわしま:わたしも農学部だったのでそもそも農業は身近な存在でしたが、もともとは環境問題がやりたいと思ってたんです。ただ一人暮らしを始めて、100円のレタスは高く感じて買わないのに、アイスはすぐに買ってしまうことに疑問を感じたんですよね。
ライターわだ:わたしは食や農にもともと興味があった訳ではなく夫の実家が農家だったことで興味を持ちました。ハタケトに関わることで自分にとっての食や農を考えていきたいと思ってます。
ディレクターしもだ:ぼくは「人」が入り口ですね。農学部の新入生歓迎会で「親父の飛騨牛だ」ってドヤ顔で振舞ってくれた先輩がいたんです。自分の作っているものに自信をもち、職業に自信を持っている人に出会ったのが初めてで衝撃でした!
編集長あべ:わたしもそうですし農学部出身者が多いけれど、みんな入り口や視点が違って面白いね。ハタケトに興味を持ったきっかけは?
全員:べーちゃん/なるみさん(編集長あべのこと)繋がりです!笑
編集長あべ:そうなんです、ほとんどのメンバーがあべが運営していた食と農の社会人サークルGOBOやきゅん野菜専門店yasaicco、ブランディング相談会など、別の活動で接点を持っていたメンバー。食や農に同じく思いを持っている方と運営していきたいなと思ったら、すでに繋がりのある方ばかりに結果的になっていったんだよね。
他にも、個性豊かな総勢15名でハタケトを運営しております。
編集部の心に刻まれているハタケトの言葉。
編集長あべ:これまでに印象に残っている記事や言葉はありますか?
SNS担当こが:わたしはだいこんや農園の赤堀さんの記事と、いちご農園の遊士屋さんの記事が好きです。
ライターわだ:わたしも同じです!”自分の余白を大切に”というのはよく聞くけれど、赤堀さんの「やりたいを描く前にやりたくないを手放す。じゃなきゃ本当に自分がやりたいことが見えなくなっちゃうから」という言葉を聞いて、とても納得感があり、はじめて腑に落ちました。
SNS担当こが:その言葉良いですよね!
遊士屋さんは農福連携の取り組み自体がとても素晴らしくて。「それぞれの強みを発揮できる場所を作って、それが適切に評価される仕組みを作ったら、どんな人でも回復したその先で、やりがいを見つけて生き直しができる」
言葉や写真からも良いチームなことがとても伝わってきます。
ライターかわしま:自分で書かせてもらった記事は全部好きなんですけど…笑
わたしはたけのこ農家の安部さんの記事が好きです!「何を楽しいと思うかが人間の質だと思っているからです。人から与えられるものでしか楽しめないと、人生を楽しみきれない」という言葉が心に残っています。
分析担当おおの:魅力伝道師のまどかさんの記事が、わたしも同じく都会でバリバリ働いていたのでとても共感です。「わたしが生きるために必要なものは、毎月の固定の給料ではなく、健康な体と暮らし」そうだよねーって!
ディレクターしもだ:ぼくは魅力伝道師のなつみさんのコラムが好きですね。いのちの感じ方や、独特な言葉遣い、熱量がすごくて毎回揺さぶられます。
「許容」が生み出すハタケトの文化
ライターかわしま:全体を通じてなんですけど取材させていただいた皆さんには共通して、なんというか「受けいれる」・「許す」文化があるなと感じています。
編集長あべ:どういうことでしょうか。
ライターかわしま:例えば赤堀さんの記事の「毎日オーガニック野菜で無理して頑張りすぎなくても良いんだよ」や、なつみさんの記事の「あなたもわたしも。「すっぴん」の肯定は人生の肯定。」も、自分に対する許容。
そしてそれらは、自分だけではどうにもできない自然と向き合っている人だからこそ生まれる精神なのかもしれないなんて思ったりしています。
ライターわだ:確かに、「お母さん牛は売れないじゃなくて、みんなで美味しく食べよう」と言った夏日牛や、
「安く加工品になってしまう本当は美味しい部位までみんなで分けたい」と言ったまるごとんの商品も「許容」というのが共通している気がします。
加えて、わたしはもともと教育や音楽への関心が強かったのですが、他の分野ではオンラインでもオフラインでも、こんなにわけ隔てなくあたたかな交流があるところはなかなかないと思います。
ディレクションしもだ:ハタケト編集部もそうですよね。この1年でハタケト内部ではなんと5人が出産してるんです!急な産休に入ってもチームワークで回せる、お子さんを育てながらでも仕事ができる、これぞ「許容」のある組織と感じています。
ぼくは次世代の働きかたはここにあるんじゃないかとさえ思っています!
SNS担当こが:本当に!小さい子どもを育てている自分にとってハタケトは、家庭で求められる母としてではなく自分の役割がある、大切なサードプレイスです。
編集長あべ:確かに考えたことなかったけど、ハタケトの取材先とわたしたちハタケト編集部は「許容する文化」というところで共通しているのかもしれないね。そしてそれがハタケのそばにある、わたしたちを惹きつけてやまない魅力のひとつなのかもしれないね。
(編集部座談会はここまで)
「畑の周りにいるなんだか豊かそうな人々」へ取材をしてきたハタケト編集部。
ハタケトを通じて自分や他者、命、自然、社会などを「許容」することの大切さや、「許容」がこの先の社会に生む大きな可能性を感じた1年でした。
今後もハタケトをよろしくお願いいたします。