2023/07/04

手放し、委ねる。背負っていないからいつもごきげん。”愛職”のヒント《後編》

チームaiyueyoで活動しているきしかなこです!

「”愛職”深堀りインタビュー」。これはわたし私がaiyueyo循環商店街で出店しているお店の名前です。「食」「職」「色」、3つ”shoku”から愛を耕すことをコンセプトにしているaiyueyoの中で、「職」にも関心が高いわたし。

わたし自身がここ半年間くらい、子育てと仕事のバランスを見失っていて、自分らしい働き方ってなんだろうともがいている時間がありました。会社か家か、0か100かではなくもっと働くグラデーションがあればいいのに、と思っていました。

ふと、「そういえば、aiyueyoには多様な働き方をしている人たちがたくさんいるじゃないか。みんなの話を聞いてみよう!」と思い立ったのが、このインタビューのきっかけ。農家兼デザイナー、週4日会社員、育休中にちょろっとワークするお母さん。いろんな働き方があるからaiyueyoはおもしろい。

愛職インタビュー第一弾の後編は、引き続き、自分らしくごきげん機嫌にいきる実践者のあべなるみさんのお話です!後編ではなるみさんご自身の「愛職」についてたくさん聞いてみました。

※前編はこちら

人も植物もちゃんと育つ、だから委ねる

きしかなこ(以下、きしかな):ところで、なるみさんってプロジェクトをいくつ回しているのですか?

なるみさん:いくつやってるんでしょうね(笑)

きしかな:いくつものブランディング案件をやりながら講座を作って、いったい何を何個回してるんだろう?って。

なるみさん:ね、どれもおもしろいけどめちゃくちゃだよ。(笑)

(9-18時のなるみさんのめちゃくちゃ予定の詰まったgoogleカレンダー。これで4ヶ月の子どもの在宅育児もしているから驚く。)

きしかな:一見すると余裕があるような働き方には見えないけれども、これはなるみさんからしたら全然、楽しいわ!という感じなんですか?

なるみさん:うん、楽しいわ!ですね。最近数カ月単位で働き方が全然違っています。今の働き方に関して言うと、一人で動いてるものがほぼないです。ブランディングの仕事も誰かとやっていて、今はもっと(メンバーに)育ってほしいと思っているんです。ちょっと前までは全部一人でやっていましたから大変化です。なので、予定はいっぱいになっているけれど、負担の一個がすごくちっちゃくなってるんですよね。

きしかな:いとちゃん(娘ちゃん)の出産の時には実際になるみさんがお休みしていたけれど、aiyueyo自体は動いてましたし、チーム戦になってきたのですね。

なるみさん:自分が得意なところに特化するようなやり方で一個一個に関わり始めています。件数はいっぱいやっているけれど、負荷はかかってないんですよね。みんな仲良しの関係で働くから、赤ちゃんがいても問題ないし。

きしかな:めっちゃいいですね!それはすごい。なるみさんがチーム作りで大切にしてきていることってあります?

なるみさん:そうですね、期待しないこと。あ、これだけ言うとなんか悲しいですね。
例えば、目標を決めるじゃないですか。目標を決めすぎると、なんで目標を達成できないんだ、という「管理」することが出てくる。でもわたしはそもそも管理することを諦めてるんですよね。いい意味で手放しているから、育成についてもそんなに真剣にやっていなくて、わたしがごきげんでやれるということをすごい優先してるんです。

きしかな:なるほど。

なるみさん:そんなに難しく考えていなくて、例えばブランディングも、わたしがときめいて仕事をしてる様子を見てもらえればいいと思っています。どこまでやってもらえるかはそんなに期待しない。ただ、それでめっちゃやってくれたら嬉しいじゃないですか!ラッキー!みたいな。あまりコントロールをしようとしていないです。「〜ねばならない」というチームづくりはしていないです。

きしかな:チームへの関わり方とか、関わる度合いも自分で決めてねということですか。

なるみさん:そうです。それで委ねまくってみて、それだと困りますというのが出てきているので、じゃあやっぱりルールはいるね、とルールを作っている。先にルールがあって、ルール通り動いてねというよりも、(チームメンバーとの)関係性が先にあって、やってみて不便だったらやり直せばいいじゃんと思いながらやっています。

やりにくかったり、負荷がかかったりしたら、申し訳ないけれども、わたし自身が結構信頼を稼いでいるので、「あべなるみさん最悪だー、くそだー。」とはならないと思うんですよ。なので、あとから直しても間に合うかなと思っています。

きしかな:そういう意味ではやっぱり、入り口に「ナエドコ」があるというのはすごく大きいのだと思いました。

(チームaiyueyoに参加するメンバーがまず受ける3ヶ月コーチングプログラム「ナエドコ」
自分の人生を生きる感覚と方法を”リハビリ”する)

なるみさん:それはすごい重要視しました。チームみんなでやるとなった時に、自分がどうありたいか、何をやりたいか、というのは、その人自身がちゃんと持った上で参加して、関わり方も全部自分で決めてほしいんです。わたしにすがらないでーー!って思ってます。経営者としてはもう最悪ですよ。普通、「社員の人生は背負うもの」みたいな世界ですよね。

きしかな:確かに、相反しているのがめっちゃ面白いですね。

なるみさん:自分と家族の人生だけで精一杯なのに何人もの人生を背負うなんてできないよって思ってます。でも、できないと思うことを一人で引き受けて、自己犠牲してチームを作るという世界を辞めたかった。まずは自分がごきげんにやってみて、それがワークしてよかったら、シェアする形ででいきたいです。
なので背負ってないですよ!背負ってないからごきげんでいるんですよね。

きしかな:オア明菜さんとの対談でも、チーム作りの話をされていて、起業当初はまだ背負う世界観だったそうですね。

なるみさん:そうそう。あの時の経験も含めて背負うのは苦しい!めっちゃ割に合わないと思ったんですよ。こっちはすごいプレッシャーと頑張らなきゃとなっているのに、そこはあまり見えないじゃないですか。このプレッシャー格差はなんなんだろうと思って。

きしかな:そういう意味でなるみさんってある意味、経営者ではないのか。もちろん数字とかは見ているから経営者ではあるんですけど、何ていう職業なんでしょうね。

なるみさん:社員とその家族の人生を背負ってはいないけど、みんな幸せになってほしいと思ってるから、愛食フェスでみんなで会うというのはしたいんです。

(4月に都内の畑で開催されたチームaiyueyoが集うフェス。詳細はこちら)

きしかな:「旗振り役」っていう肩書は本当にぴったりですね。

なるみさん:これは起業した時からホームページに書いていたんですよね。社長っぽくなくていいよな〜とずっと思っているんです。

きしかな:そうか、やっぱりなるみさん自身がロールモデルになってくれることで後に続ける人たちがいるんでしょうね。相手に期待しないという考え方は衝撃ではあるけれど、「経営とは」という概念も壊されるし、おもしろい。

なるみさん:自分の人生と生きてる人と関わりたいんですよね。
同じ主体的な個人と、同じ目線でやっていきたいんです。速度を出して組織でやるためには、社長がリスクをとって背負う。その代わり思い通りに動いてもらう、ということがあったと思うのです。けど、自分が子育てをする中で、それは飲み込めないので。子どもだけでも精一杯なので、速度は期待していないです。出たらラッキーぐらい。

きしかな:確実に広がってはいくのだけど、じわじわと着実に。届けたい人に届いていって、みんなの半径5mの幸せが同時多発的に起こっていく感じですかね。

なるみさん:でもね、冷静に考えてみると、速度を期待するって普通じゃないと思ってきているんです。例えば植物に対して「じゃあこの事業計画を引いたから、あなた2週間後まで20cmお願いします」と言ったって植物は10cmも伸びないじゃないですか。今までは、事業計画を作って、計画ができたから無理にでもやりなさい、という順番だったと思うんですよ。無理かどうかではなくて、「数字引いたから(やりなさい)」という感じだったと思うのですけど、それが”不自然”だったんですよね。

人間は、いのちなので、植物と同じように育つ速度があって、ほっといてもちゃんと成長する。だから委ねている。子どもを見ていても、やっぱり委ねて成長するじゃないですか。勝手に育つんですけど、ちゃんと勝手に育つようにアシストはする、見届けているという感じです。だからけっこう気楽です。わたしが引いた計画通りに伸ばさなきゃ、コントロールしなきゃ、とあまり思っていないので、根本的なプレッシャーとかがないんです。

きしかな:それで言うと、仮にaiyueyoのメンバーでモチベーションを持てなくなってしまった人がいた場合、どうするんですか?

なるみさん:どうもしないです。

きしかな:おおおおお….!!

なるみさん:どうもしないというか、(人は)揺らぐじゃないですか?
だから、ああ、揺らいでるんだな、また人生のタイミングがきた時に必要であれば関わってくれればいいなと思います。ここが使える場であるためにメッセージを発信したり、伝えることを伝える。関わりしろを見せたり、できることを可視化するなどの努力はします。でも無理やり熱を上げにいくとかはしないです。

きしかな:ほおおお…!

なるみさん:モチベーションを無理矢理上げてもおもしろくないということも学んだんですよね。やれって言われてやったことと、自分がやりたいと言ってやったことって全然違うんですよ。本人の輝きというか、楽しさというか、魂を使っている感じというんですかね。全然違うんです。そういうものをもう目撃しちゃったので、無理やりやらせてもね、と思ってるんです。

その人の本当にキラッと光るものが出てくるのって、やっぱり本人がやりたいからなんですよね。やりたいことの背中を押す、だから講座を多くやるんです。ナリワイ助産院もやっぱりあなたが出産するんだよって。そして、出産するための考え方や導きは、仲間がいた方が頑張れるじゃないですか。だから考え方を教えたり、仲間を作ったり、背中を押すことはします。

きしかな:環境なんですね。放牧している牛さんを、牧草のあるところには連れて行くけど、その草を食べるかどうかはあなた次第みたいな。

なるみさん:そうそう、環境を整える努力はするけど、選び取るのはその人自身。

きしかな:どんな答えであっても、それをなるみさんは受け入れるし。

なるみさん:そうそう。なので、aiyueyoとしても、「愛食勃発」を目指してるんです。わたしがつくった事業を、5年でうん億円にするみたいなことは目指していなくて、その人の魂が燃える愛食が勃発した方がいい。薪をくべるお手伝いはするけれど、着火させるのは本人だし、勝手に着火していただいて、結果勃発したら嬉しいなって思っています。

仕事と子育てが一緒なんですよね。子どもたちも環境は用意する。あと、やるかやらないかは自分次第じゃないですか。仕事も全部そういうふうにしています。

きしかな:すごい、子育て論と仕事論が重なるんですね。

なるみさん:うん、根底には「育つ力を持っている」って信じているというのはあると思います。別に自然に委ねてもちゃんと育っていくんだって信じてるっていうか。

きしかな:それもなるみさんに根付いている考え方だからかあ。ああ、なんかつながってきました!

何かを「手放す」という意思表示

きしかな:すべてがつながっていきますね。なるみさんが今やってて一番楽しい仕事や、役割はありますか?

なるみさん:えー、難しいなあ。どれも楽しいんですよね。全部楽しいです。なんだかんだ負荷がかかることも好きなんですよね。やっぱり新しいものを生み出してるってことが好きです。今は講座づくりにけっこう負荷がかかってるのですけど、やっぱりこの先何十人の人のお手伝いができるものだと思うので、すごいやりがいはあります。

きしかな:それこそ思い込み手放し講座を今度やるみたいですが、なるみさんはもう結構手放せているのですか?

(7月7日にはあべなるみさんが講師をする「思い込み手放し講座」が開講します!)

なるみさん:いや、まだまだいっぱいあるはず。わたし、「第二のこんまり」さんになりたいという新しい夢があって。

きしかな:ちょっとそれはどういう?

なるみさん:こんまりさんは、人生をときめくということを片付けという手法でやってくれるじゃないですか。わたしは人生を、世界をごきげんにするということを、愛食という手段で広める人になりたいと思っています。もっともっといきたいと思っているので、今の進捗はもう全然、全然だと思うんですよ!だから根本的にやり方を変えないと、「第二のこんまり」さんまではいけないと思っています。そういう意味では、全部楽しいのだけど、停滞もしている気もします。

きしかな:その「第二のこんまり」さんになるためにはどうしたらよいのでしょう?

なるみさん:もっと思い切って何かを手放したりする必要がある気がします。そして、こんまりさんだったら本が大きなきっかけだったので、思想を詰め込んだアイテムを作るとかですかね。

挑戦することは好きだけど、育児のこともあって、あまり無理をしすぎないようにブレーキを踏んではいる。けれど、もっとうまくやれる気がしています。だから楽しいんだけど、満足はしてないです。

きしかな:なるほど!わたしもけっこう子育てに悩みがちで、やっぱり仕事をしたいなと思っている自分のバランスをとるのが難しいので、まずやることは「手放す」ですね。

なるみさん:この前、いとちゃんを連れてワークショップをしたんですよ。

きしかな:ああ!あのツイート最高ですね!

(なるみさんのある日のtwitter投稿)

なるみさん:別の機会で宮崎に行っていたんですけど、あいちゃん(娘ちゃん)も一緒に行って、いとちゃんと2人を連れて、クライアントの農園視察に行ったんです。山口から両親に車で来てもらって、視察・会議中は子守してもらいました。その代わり視察を4時でパシっと終えて、そこからは家族旅行にしました。流されていたらお客さんと一緒に飲み会、二次会、三次会のカラオケコースだったんですよ。そういうのも好きだけど、今のわたしはそれができない。でもなんとか仕事するすべはないか、と主張して、この形にチューニングしたんですよね。

きしかな:自分の意思をちゃんと主張するということですよね。

なるみさん:けっこう細かくあるんですよ〜。「なんか行ったほうがいいのかな?」とか、「子供連れて行っちゃだめなのかな?」とか、いっぱいあるじゃないですか。

きしかな:ありますね。

なるみさん:なので、ちょっとずつチューニングしています。うちの子がおとなしいからこそできることではあるのですが。

きしかな:みんな悩んでるんですよね。なるみさんの言葉に勇気づけられる人は本当にたくさんいるし、「甘えるなぁ」の言葉(前編参照)はすごく刺さりました (笑)

なるみさん:結局、自分の最高のバランスを取ろうと思ったらそれなりに主張したり、そこに行くための「えい!」はいるんですよね。

きしかな:その「えい!」をしようと思ったらどうしたらいいですか?

なるみさん:農家さんとたくさん話す!!わたしはファーミングベアの安部さんの影響をめちゃくちゃ受けています。

(食育農家の安部さんの連載はこちら

きしかな:自然の理を知っている農家さんと話すというのは、一番いいきっかけになるのかもしれないですね。わたしの周りの悩んでいる友人にもおすすめします!

(後編インタビューはここまで)

前編・後編にわたってのなるみさんのインタビューはいかがでしたか?

チームaiyueyoに所属する私自身も知らなかったなるみさんの考えや、メンバーへの想いを聞けて、aiyueyoの居心地の良さは、やっぱり農家さんはじめ自然の理からきているのかと、すごく腑に落ちました。

働くことは生きることに直結するほど、誰にとっても大切なこと。なるみさんはじめチームaiyueyoの「愛職」話が、自分らしく働きたいと思う人たちの、少しでもごきげんに生きるきっかけになりますように。

ライター/きしかなこ